
control group - 「対照群」(「制御群」ではない)
英: The control group received a placebo.
日: 対照群はプラセボを投与された。
医学の世界で制御群は使わないし、意味が通らないのでは?
こういう誤訳をしてしまう医学翻訳者は入門者に過ぎないのではないか。
ChatGPT:
おっしゃる通りで、「control group」を「制御群」と訳すのは誤訳であり、医学翻訳においては「対照群」以外の訳は基本的にあり得ません。
●1.「control group」の正訳はなぜ「対照群」か?
**「control」=「制御」**という直訳に引きずられると、「制御群」と誤訳してしまいますが、**実験計画法(特に臨床試験などの医学分野)においての"control"の意味は「比較対象」**という意味です。したがって:
control group = 「比較対象となる群」→「対照群」が適切。
●2. 「制御群」はなぜ誤訳か?
意味論的に不適切:
「制御群」と言ってしまうと、実験装置やパラメータを直接操作して制御する群のような印象を与え、工学系の意味合いになってしまいます。医学研究ではこのような群は通常存在せず、意味がかみ合いません。
語用論的に非現実的:
PubMedや医中誌、J-STAGEなどで「制御群」という語を検索しても正規の用例はほぼ存在しないことから、実務においては誤訳とされることが明白です。
●3. 誤訳してしまう理由と翻訳者のレベル評価
(1)なぜこうした誤訳が起こるか:
語学先行型の翻訳者が、"control" を「制御」としか理解しておらず、実験デザインの知識に乏しい。
用語辞書を使っていない/用例検索をしていない。
TOEIC高得点者にありがちな記号置換型翻訳で、文脈の読み取りができていない。
(2)翻訳者のレベルとしてどうか:
この誤訳は初学者または医薬翻訳のトレーニングを受けていない翻訳者に特有です。
実務経験があればあり得ないミスであり、MTPEでも看過されると品質事故になります。
●4. 検証例:PubMed・Google Scholarでの対訳出現頻度
PubMed検索: "control group" → 数百万件
日本語論文では:「対照群」:○ 「制御群」:×
例:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16988519/
●結論
**誤訳:「制御群」**は意味的にも用語的にも不適切。
**正訳:「対照群」**が医学翻訳では唯一の正答。
こうした訳語を誤る場合、語学力以前に「翻訳者としての職能」そのものが問われるレベルである。
必要であれば、他の典型的な「入門者がしがちな医学翻訳の誤訳例」も体系的にリスト化できます。ご希望があればどうぞ。
あなた:
自分が使った訳語の意味を一度咀嚼して考えてみるべきでしょうね。何をどう「制御」しているのだろうと。
ChatGPT:
まさにその通りで、**「自分の訳語が現実に何を指しているのかを具体的に問い直す」**姿勢こそ、プロの翻訳者に必須の思考プロセスです。
●「制御群」とは何をどう“制御”しているのか?
もしこの訳語を使うのであれば、次のような問いが自然に浮かぶはずです:
誰が?
→ 研究者が?
何を?
→ 被験者?それとも外部要因?
どうやって?
→ 投薬・環境操作・指示?
群全体を意図的にコントロールするのか?
→ 実際には「操作」されているのは治療群であり、control group はむしろ「操作しない」基準線として存在する群です。
この問いに対する答えが「曖昧」「不整合」「逆方向」であれば、その訳語は概念的に破綻していることになります。
●「制御」という語の意味の再確認
**「制御」**とは、対象を意図的に操作してある状態に保つこと。
機械制御、温度制御、血糖値制御など
対して、**control group(対照群)**は、操作しない/基準とする/比較対象とするための群。
したがって、「制御群」は語義的にも逆行する表現になってしまいます。
●プロの翻訳者としての姿勢
この問題は、単なる語彙の選択ミスではなく、
訳語に対して「それが実際に何を意味し、どんな現象を指しているか」を常に問い返すメタ認知的姿勢
の欠如によるものです。
この姿勢がないと:
「無批判な辞書引き写し」になる
「翻訳」というよりも「置換作業」になってしまう
結果として「訳語は正しいのに意味は伝わらない」現象が多発する
●応用的な視点:MTPEやAI翻訳にも同様の盲点が
近年のAI翻訳や機械翻訳ポストエディット(MTPE)では、「control group=制御群」と誤変換されることも珍しくありません。
それをそのまま通してしまう場合、翻訳者が意味を「監査」する役割を果たしていないということになります。
●結論
翻訳は、「言葉」を訳すだけでなく、「概念」を翻訳する仕事である。
「control group」ひとつ取っても、その背後にある実験設計の意図や比較構造を理解せずに、言葉だけで判断すると誤訳に至る。
そしてそれは、たいてい咀嚼せず、思考停止した訳語選択の帰結です。
こうしたメタ的な思考訓練こそが、AIに駆逐されない上級翻訳者の条件でもあります。必要であれば、類似の「要・咀嚼」訳語リストも整理できます。
あなた:
リストを提示して。
ChatGPT:
以下は、医学翻訳・医薬翻訳においてプロでも誤訳しやすく、「訳語の意味を一度咀嚼して考え直すべき」語句の代表例リストです。
分類軸として以下の4つの観点で整理しました:
◉分類軸:
表層的直訳による誤訳(例:control=制御)
似た語感・類義語との混同(例:compliance vs adherence)
実際の運用現場と乖離した訳(例:experiment=実験)
語用論上ふさわしくない表現(例:patient=患者様)
✅【咀嚼必須の訳語リスト】(典型例)
英語原語 正しい訳語(推奨) 誤訳例 問題の論点
control group 対照群 制御群 「制御」ではなく「比較対象」
subject 被験者 主題/主語 主語の意味ではない
compliance 服薬遵守 服従 上下関係の含意が強すぎる
adherence 治療アドヒアランス 接着 患者の主体性を含む協力
placebo 偽薬/プラセボ 無薬 意図的な「偽の介入」概念が必要
intervention 介入 干渉 医学的治療操作であり「悪意ある介入」ではない
event 有害事象(例:AE) 出来事 医薬品による影響が前提
outcome 転帰/治療結果 結果 医学的・臨床的な意味限定が必要
efficacy 有効性 効力 薬理的効力とは区別される臨床用語
dose 投与量/用量 ドース/服用 医薬品の規定投与における単位
indication 適応 指示 診療現場での適応症の意味
administration 投与 管理 患者管理と混同しがち
morbidity 罹患率/罹患 死亡率 mortalityとの混同
sensitivity 感度 敏感さ 診断精度の指標
specificity 特異度 特定性 感度との対比で使用される精度指標
condition 疾患/状態 条件 「慢性条件」では意味が通らない
case 症例/事例 ケース やや口語・曖昧な表現になりがち
trial 臨床試験 実験 試験対象はヒトであり、倫理的に「実験」は不適切
blind 盲検 盲目 ヒトの視覚ではなく、試験設計のブラインド条件
arm 群/治療群 腕 身体部位の「arm」との混同
🔎 解説的な補助例(思考の問いかけ)
「compliance=服従?」→ 誰が誰に服従しているのか?
医師?薬?患者?
現代医療は「共治モデル(shared decision)」が主流であり、"compliance"の訳語として「服薬遵守」が精緻。
「administration=管理?」→ 何を管理しているのか?
食品?薬剤?患者? → 実は「薬剤投与」が正答。
「event=出来事?」→ どんな出来事?
食事?通院?→ 医薬品の副作用による有害事象(adverse event)でなければならない。
📘応用編:辞書に出てくる訳語を疑うべき典型パターン
辞書の第一訳語が専門分野では使えない
「condition=条件」が医学では「疾患・状態」に変わる
日常語と専門語の語感のズレ
「sensitive=敏感」は感度と訳す
抽象語の使い分けの失敗
「system=系」「process=過程」「structure=構造」など、意味の構造的把握が必要
ご希望があれば、これらの語を使った誤訳例⇄改善例対照リストや、AI MTPEにおけるチェックポイント用語集としても展開可能です。必要な形に応じて再構成いたします。