★注意★

受講感想を読む際には、「自分との差」を考えること。
翻訳お勉強業界に棲む多くの人は、漠然と夢を見て老いていきます。
それだけじゃあ寂しいのか、無駄にお茶会やお勉強会にすがり、
やっている風を装うための認定や資格に異常なまでにこだわります。
自分ベクトルを結果に向けること。
エネルギー効率を迷わずそこへ向けること。
そうすれば短ければ1年、普通は2年程度でプロになれます。
どこかにもっと楽してプロになれるノウハウとか秘密のテクニックが
隠されていると思っているうちは、詐欺講座の「養分」です。

506A8467-2


お花畑はいつまでも続きません。
長く瞑想しているとあっという間に老後がやってきます。



【受講感想】

目次

1. 要約
2. 受講に至るまで
2.1. 経歴
2.1.1. 高校時代
2.1.2. 大学時代
2.1.3. 音楽活動時代
2.1.4. サラリーマン時代
2.1.5. 母親の介護
2.2. 受講理由
2.2.1. 講座の存在を知るまで
2.2.2. 受講申し込みに至るまで
3. 受講期間中の行動履歴
3.1. 受講1ヶ月目:全体像の把握
3.2. 受講2〜4ヶ月目:化学/物理の学習
3.3. 受講5〜6ヶ月目
3.3.1. 専門分野の決定とその学習
3.3.2. 言語変換スキルの習得
3.3.3. クライアントリスト作成
3.3.4. 特許出願実務と特許法の概要把握
3.3.5. 翻訳環境整備
3.4. 受講7〜9ヶ月目
3.4.1. 特許明細書を1件全て訳す
3.4.2. 新型コロナウイルスに関するブログ記事作成
3.4.3. トライアル初挑戦
3.4.4. 翻訳力集中強化
3.5. 受講10〜11ヶ月目:実ジョブのシミュレーション
3.6. 受講12〜13ヶ月目
3.6.1. トライアル集中応募(第1弾)
3.6.2. 高校数学の学習
3.7. 受講14〜15ヶ月目
3.7.1. 実ジョブを経験
3.7.2. 英訳練習
3.7.3. 展示会参加
3.8. 受講16〜17ヶ月目
3.8.1. トライアル集中応募(第2弾)
3.8.2. 実力強化
3.9. 受講18〜19ヶ月目
3.9.1. トライアル集中応募(第3弾)
3.9.2. 英訳練習
3.10. 受講20ヶ月目〜現時点
3.10.1. 実ジョブ
3.10.2. 対応した案件に関する分野の学習
3.10.3. トライアル応募
3.10.4. 民法学習
4. 実績まとめ及び自己分析
4.1. 実績まとめ
4.2. 自己分析
5. 卒業後の目標
6. 『レバレッジ特許翻訳講座』受講の勧め(受講を検討されている方へ)
6.1. 翻訳業についての解説動画
6.2. 翻訳スキルを動画で伝授
6.3. コンサルティング
6.4. まとめ
7. 御礼

1. 要約

2019年10月からレバレッジ特許翻訳講座の2年コースを受講しました。講師から指導を受けることで、理系バックグラウンドがなく、翻訳業未経験(厳密には企業勤務時に業務の一環として翻訳を行った経験あり)の状態から、翻訳者として稼げる状態にまでなりました。現在はバイオ・メディカル分野の和訳を中心とし、クライアント3社と継続的に取引して、実務翻訳(論文翻訳/特許翻訳/産業翻訳)を手掛けています。1ヶ月間の売り上げは、稼働日数を20日間以内に抑えた上で、平均25万円(年収300万円ペース)です。卒業後は、1年以内に年収550万円以上にすることを目標にしています。

2. 受講に至るまで

【2.1. 経歴】

<2.1.1. 高校時代>

中学3年生になった折、高校受験のために難関校を目指す学習塾に入り、夜遅くまで毎日のように勉強をしていました。第1志望校は不合格だったのですが、それなりに知名度のある都内の大学附属校への入学が決まりました。1年間相当のエネルギーを使って目標を目指していたので、理想の結果にならなかったことが当時はショックで、初めて大きな挫折を味わった覚えがあります。塾の講師からは、「受験というのは縁があるところに受かるものだから」と慰めてもらった記憶がありますが、今振り返ると、この進路が自分の人生の方向性を大きく変化させたように思えます。

高校に入学した当初は、1学年の生徒数約650人のうちで10位以内の成績を収めていました。高校受験の挫折から、大学受験ではリベンジしたい気持ちがあり、気合いが入っていたのだと思います。大学附属校ではあるのですが、必ずその大学に進学をしなければならないわけではなく、推薦を留保したまま他大学の受験ができるシステムがありました。また、学年トップ15%に入っていないと希望の学部に進学できないというルールもあり、そこは死守しようという考えがありました。

しかし、他大学受験を考える生徒はごく少数派で、私も周りの環境に流されてしまい、高校2年に上がるころには大学受験を考えなくなっていました。自由な校風でアルバイトをすることが認められており、オシャレに敏感な都会の子が集まる環境でした。一方で私は、通学圏内とはいえ、田畑が広がる準田舎から片道1時間半かけて学校に通う、垢抜けない男子。勉強では一目置かれていた部分もありましたが、仲間に認められるためにはそれ以外のイケてる部分が求められていたのです。そういったこともあり、私はファミリーレストランでアルバイトを始め、稼いだお金を持って原宿で流行の服を買い、美容院に行き、そしてエレキギターを買いました。

やがてギターも上達し、仲間とバンドを組み、洋楽ロックバンドの曲をコピーしてライブをするようになりました。とりわけ音楽が好きな家庭で育ったわけではないのですが、音楽への興味は湧いて出てくるものがあり、小学校低学年のころからビートルズにはまっていました。ジョン・レノンに憧れていたので、ギターを段ボールで作って真似をしたり、英語の歌詞を暗記して歌ったりする少年でした。そこまで自発的になったのは、音楽が持つ魔法の部分にとてつもない魅力を感じたからだと思います。ある音の響きを聞いただけで空想の世界がイメージとして浮かび上がる、といった不思議な知覚体験の虜になっていました。

このような音楽体験は、私にとって現実世界からの救いにもなりました。自宅から高校まで通学する際には、満員電車に揺られ、サラリーマンが怒号を飛ばし合うような殺伐とした風景を眺めていました。このように決して楽しいとは形用できない状況下で、イヤホンからとびっきりの音楽を聴くことが私にとっては必要なことであり、音楽がさらに大事なものとなっていきました。

そういうわけで、勉強よりも音楽や友達付き合いの方が優先順位は高くなり、自然と学年順位が落ちていきました。化学や物理の授業も受けていたとは思いますが、何を勉強したのかほとんど覚えていません。数学はもともと得意科目であり、高校受験の際に高校1年生レベルまでは予習していたので成績は良かったのですが、数B以降は苦手意識を感じるようにもなっていました。高校3年生になると文系理系にクラスが分かれるので、迷わず文系コースを選択。国語、英語、社会科目は成績をキープできていたからです。定期試験は付け焼き刃でやり過ごし、最終的には学年トップ15%に入れたので、附属大学の希望学部に進むことはできました。

<2.1.2. 大学時代>

大学で法学部に進んだのは、つぶしが利くと考えたからです。あながち否定はできませんが、非常に消極的な発想だったことは認めざるを得ません。弁護士になって偉くなり、お金を稼げたらいいなと考えたこともありましたが、勉強に対して自信がなくなっていたので、その道はとてもハードルが高いものだと思い込んでいました。また、受験で勝ち上がってきた学生の意欲にも圧倒されました。のほほんと高校生活をエンジョイしていた附属生との学力の差は明らかでした。授業のレベルも高く、ついていくのがやっとの状態。特に法律関係の授業は、高校での学習内容の延長上にあるものではなく、抽象的で難解な専門的領域にいきなり突っ込んでいかなければなりませんでした。

高校生活から延長されたものは、勉強以外の領域を充実させるという態度でした。バンドメンバーも同じ大学に進んだので、音楽活動は自然と継続しました。演奏力も上がり、オリジナル曲を作ってライブで披露するようにもなりました。アルバイトで稼いだお金は、機材やCD、感性を高めるための映画や小説に投資しました。おぼろげながら音楽の世界で活躍したいという気持ちが実りつつあったので、私にとって音楽活動は楽しむというよりも、真剣に取り組むべきものになりました。この感覚は他のバンドメンバーにはないものだったようで、彼らは将来を現実的に見据えていました。

とはいえ、勉強を全くおろそかにしていたわけではありません。高い学費を払ってくれている親のことを考え、授業には真面目に出ていましたし、国際関係の法律や政治は特に関心を持って学んでいました。また、友人の勧めもあり、知的財産法ゼミに所属していました。いずれミュージシャンになったら著作権の知識が必要になるだろうとも考え、教授の話を熱心に聞いていた記憶があります。担当教授のお一方は、『判例百選』で解説をするような方で、今思えばかなり贅沢な授業を受けていたわけですが、ためになる厳しい指導をしてくれました。「担保ってどういう意味?小学生にわかるように説明して」「この条文は要するに何が言いたいの?」というような調子で、脳に負荷がかかる授業でしたが、こういった思考法は現在に活かされ、再度向き合うことになりました。

大学3年の夏には就職活動をする学生が増えます。この頃の私は、一度しかない人生において本気でミュージシャンの道を進み、自分の力を試してみたいと考えており、就職するかしないかで非常に悩んでいました。企業の合同説明会に参加するものの、黒いスーツを着た就活生の大群を見て、高校通学時に見た社会の殺伐とした光景がよみがえり、吐き気を催しました。音楽の道以外には自発的に進みたいと思える進路がなく、高校から大学へ進学したときのように惰性で就職するのは嫌でした。どうせ目指すならば中途半端にしたくなかったので、企業に勤めながらプロを目指すという考えは捨てました。以上のことから、就職をせずにミュージシャンとして生計を立てる道を選択しました。

決断をすると自ずと道は開けてくるものです。バンドメンバーと行った最後の音楽ライブでは、後の師匠となる人物に出会いました。この人の音楽は世界で通用する、と私は生意気にも考え、付き人としてフォローさせてもらうことになりました。つまり、私の就職口のようなものが見つかったということです。

<2.1.3. 音楽活動時代>

大学を卒業してからは、実家を出て安アパートに住み、アルバイトを掛け持ちしながら、師匠と共に音楽活動をする日々を送りました。当時はSNSが発展途上の状態でありましたが、大きな可能性を予感させていたので、私たちはレコード会社に所属することを目指すのではなく、自分たちでプロモーションを行い、活動を自分たちでコントロールしていくことを考えていました。そこで、独自レーベルを立ち上げてインターネット上にオリジナルWEBサイトを作り、音源の宣伝や販売を行いました。その他、海外バンドのグッズを輸入して販売することもありました。

このようにアルバイトをしながら手広く活動を広げていたので、音楽制作自体に時間をかけることができず、私は何を目指しているのかよくわからなくなってしまいました。また、いつまでも弟子のような身分でいるわけにもいかないので、頃合いを見計らって師匠から離れ、ソロで活動を進めることを決意しました。

ソロ活動では、コンピューターでの作曲法(DTM)を学びながら、曲を作っては配信サイトで公表するということを継続しました。曲作りに関しては、海外の最新情報をキャッチアップしたいと考え、英語の記事を読んで勉強しました。その過程で英語の文章を多読する習慣が身につきました。さらには、音楽シーンの最先端を知るために、お金を溜めて海外を旅し、現地で生活をしながら人脈を作るなど、実行できる範囲で思いつくことは行動に移してきました。

音楽は言語を超えたところにあるので、予想できない出会いや偶然が起きるのが魅力の一つです。海外ではかけがえのない友人ができましたし、ある国のスターと知り合うこともありました。このように、音楽活動を通じて豊かな経験を得ることができましたが、着実に歳を重ねていたことは事実であり、このまま活動していても人生は好転していかないことがわかってきました。それまで、就職はしない人生を貫徹したい、という謎の意地があったのですが、音楽関連の企業に就職して、異なる方向から可能性を探ってみようという発想が生まれました。

<2.1.4. サラリーマン時代>

縁があったのは、音楽関連出版社の雑誌編集部でした。編集者として求められていたのは、企画力はもとより、きちんとした文章が書けるかどうかでした。意識をして文章を書くことはそれまでしてこなかったのですが、読書はジャンルにこだわらず大量にしてきていたので、案外とスムーズに編集業務に馴染むことができました。

業務では、一流アーティストや大物プロデューサーへのインタビューのほか、企業とのタイアップ記事の執筆、新譜や音楽制作機材の評論、レコード会社との折衝等、誌面制作に関わる様々なことを経験させてもらいました。就職前とは全く異なる立場で音楽と関わることになり、ステージが一気に変わったことを実感しました。少し前の自分はデモテープを送る側にいたのに、大量に送られてくるデモテープを聞きもせずにデスクの下に積み上げる毎日。「バンドの数は星ほどにあると言われるけれど、実際はそれ以上だ」とつくづく思いながら、日々の業務に忙殺されていました。

また、業界に入ることでプロとして音楽を続けていくことの厳しさを肌感覚で理解するようになっていきました。プロとして活躍されている方は、自分がかつて必死になって獲得してきたスキル、また、それより遥かに上のことを、いとも簡単にこなしていましたし、そもそもバックグラウンドが全く異なっていました。そして本質的に違ったのは、誰もが完全に振り切れていたことです。私は音楽以外の道について保険をかけることを頭のどこかで考えていましたし、人生を全て音楽に捧げるという絶対的な覚悟が足りていなかったようです。私のようにリスクを考えることは、至って普通だと思いますが、音楽業界ではその普通が通用しないことを悟りました。そして、自分が井の中の蛙であったことを痛感したのです。

このようにして次第にプロのアーティストを目指すことは考えなくなり、音楽との関わり方についても再考する必要が出てきました。編集者という職業については面白さとやりがいを感じていましたが、音楽が関わってくると話が変わってきます。好きではない音楽についても、世間が求めているのであれば積極的に扱わなければならないし、ビジネスライクに音楽と接する必要があります。それまでアーティストとして自分の世界観を追求することを第一としてきた私にとっては、音楽に対する接し方を変えることは困難でしたし、それは自分のアイデンティティとして死守しなければならない領域でもありました。信頼できる先輩からは、音楽との関わり方は仕事以外にもあるというアドバイスをもらい、音楽は趣味として人生を豊かにするものと割り切る考えを持ち始めました。

そして、プライベートでは結婚を考えるような年頃になっていましたし、音楽を趣味と位置付けた以上、仕事はしっかりと稼げて休日を確実に取れるものにしたい、と思うようになりました。また、母親に余命宣告がなされるほどの癌が見つかった関係で、母親が安心できるような姿を見せなければなりませんでした。これまで散々心配をかけてきたのだから、孫の顔を見せてあげるくらいのことを息子として務めたいと考えたのです。したがって、音楽業界から離れることを決意し、転職活動を始めました。

それまで音楽や旅行を通じて海外と関わることに喜びを見出していた私は、専門商社への転職を希望し、貿易関連の職を得ました。この時点でTOEICは800点ほどのスコアを取得しており、英語での面接も何とか切り抜けたことから、私は海外企業と日本企業との間を取り持つ折衝役として機能することが求められました。業務には契約書や報告書の翻訳、商談時の通訳も含まれ、未経験の私は冷や汗をかきながらも必死にこなしていました。

やがて業務にも慣れ、自分が行っていることを俯瞰できるようになった折、どことなく虚無感を覚えるようになっていました。それまで音楽制作や雑誌制作という物作りに関わってきただけに、商品を右から左に流していく仕事に対して手ごたえを感じることが難しく、関係者との不毛な飲み会や、神経をすり減らせるような駆け引きが続き、自分が損なわれていくような気がしました。

一方で、母親の余命は着実に少なくなっていき、介護等を家族に任せっきりにしていた私は焦燥感に駆られました。仕事に一区切りがついたら、実家に帰って少しでも長く母親のそばにいることが一番の親孝行かもしれないと考え、再度の転職を決意しました。

実家から通える範囲で物作りに関わる転職先として、メーカーに就職し、営業部に配属されました。営業職に関しては、自分には不向きだという印象があったのですが、経験していないことをやってみるのは大事だと思い志望しました。このような考え方は、ある尊敬すべき社長の話に影響されています。その社長は、起業前になるべく多くの職種を経験したことがためになっていると語っていました。ミレニアル世代であり、とりわけ大学卒業時の一斉就職のレールから外れていた私は、一つの企業に長く残り続けるという考えからは解放されていましたし、自分のキャリアは他人による人事に依存せずに自分で構築していくものだ、という考えを自然に持っていました。

ところが、この転職は大失敗に終わります。職場の人間関係を構築できませんでした。社長と部長は私の経歴に興味を持ち、良くしてくれたのですが、それを快く思わない社員がいました。現場レベルでは社長や部長の後ろ盾に効果はなく、村社会的な閉塞的環境で業務を遂行することは困難でした。また、この職場環境での経験が決め手となって、自分は組織の一員として働くよりも、個人として働く方が、パフォーマンスが上がり成果を出しやすいと悟りました。その他思うところがあって、結果として退職に至りました。

<2.1.5. 母親の介護>

母親の余命が残り半年ほどと宣告される中で、私は闘病生活のサポートをしながら、前から勉強したいと思っていたことに取り掛かりました。当時、第四次産業革命という言葉が世界経済フォーラム等から発せられており、パラダイムシフトが示唆されていました。つまり、経済格差が極端になり、無用者階級が生まれ、個人の卓越した能力が求められる時代がすぐそこまで来ている事実を、緊張感を持って受け止める風潮がありました。私はこの変化に何とかして対応したいと考え、『21世紀の資本』や『ホモ・デウス』など、これからの時代の方向性を匂わせる書籍を読み漁りました。同時に、AIを理解するために、eラーニングを利用してPythonを学習することもありました。また、知識人のトークショーに参加しては、文系理系の枠を超えた学際的な知識と批判的思考力が必須となることを耳にしました。以上のようなリサーチから、これからの時代を生き抜くには、まとまった時間を使って自分の頭のOSをアップデートしなければならないと感じるようになりました。

その年の冬を迎え、母の病態が悪化し、家族が交代でつきっきりの介護を行うようになりました。私は、自分勝手に好きなことをして立派な姿を見せられなかったことを謝り、これまで不自由のない生活をさせてもらったことへの感謝の言葉を伝えました。

最後の一ヶ月では、鎮痛剤を使用した疼痛の緩和治療が行われ、癌治療に対する医療の限界を知ることになりました。この時期の介護は相当に苦痛で、家族の誰もが疲弊しました。病気に対して何もすることができない無念さを味わい、この辛さから母だけでなく私たちも早く解放されたいと考えるようにもなりました。それと同時に、献身的にサポートして下さる医療従事者の働きぶりを見ては頭の下がる思いをしました。

【2.2. 受講理由】

<2.2.1. 講座の存在を知るまで>

母の件が落ち着き、自分の身の振り方を考えるようになっても、すぐに就職する気にはなれませんでした。前職の経験から組織に属することへの抵抗がありましたし、何もアップデートできていない状態で求職をしても、待遇の良い職が得られるとは思わなかったからです。そこで、失業給付金が降り、実家暮らし独身で、当面の生活も何とかなる貯金がありましたので、自分を見つめ、スキルの棚卸しと開発をし、将来の展望を考える時間を設けました。

まずは中途半端な英語力をどうにかすべく、求人情報で頻繁に見かけるTOEICスコア900点の取得を目指し、無事950点を超え、履歴書に書ける状態にしました。職探しについては、初めに自分の希望条件を満たす理想の働き方を考えてから、その実現性が高い職を探すことにしました。自身の性格上、仕事はモチベーションが上がるものでないと続かないことがわかっていたからです。

私が考える理想の働き方とは、組織に属さないフリーランスとして場所を選ばずに仕事ができ、年収や休日などを自分で決めることができるものであって、これからの激動の時代にも対応できる働き方でした。また、閉塞感が漂う日本を飛び出して海外に移住することが、理想のライフスタイルとして思い浮かぶことでした。

音楽活動時に滞在した国の中には、豊かさを体現する国があり、その国に住むことを真剣に考えた時期がありました。3度同じ地域を訪れては現地人とネットワークを構築する活動をしていました。また、現地の移民弁護士や大使館スタッフの情報から、一定の要件を満たして継続的な稼ぎが得られる状態であれば、定住者ビザを取得できる可能性があることがわかっていました。

私は上記のことを思い出し、試してみる価値があると考え、移住要件を満たすことができる仕事をリサーチしました。その過程で、海外で暮らす同年代のフリーランス特許翻訳者の書籍を発見しました。

その書籍には、著者の特許翻訳者としての仕事内容や海外での生活の様子が書かれており、著者とは状況が異なるけれど、応用したら私が考える理想の働き方ができ、かつ海外移住もうまくいくかもしれないと思いました。糸口をつかみ始めました。それまでに他の移住経験者の職業をリサーチしてはいましたが、現実性に欠けるものや自分には適さないものが多く、参考にならなかったからです。また、翻訳業に関しては稼げる印象があまりなかったのですが、書籍の内容により、特許翻訳であればまとまった金額を稼げることがわかり、海外移住への展望が開けてきました。

特許翻訳という職種については既知であり、英語が比較的得意で、文章にまつわる仕事をしてきた私に適性がある可能性も既に見出していました。以前就職活動をしていた時期に、求人紹介業者を通じて特許翻訳会社から面接のオファーをもらった経験があるからです。当時はレアジョブとして紹介されていたので興味を持ちましたが、勤務地等の関係から面接は断っていました。ただ、特許翻訳の適正が自分にあるということを他者から評価された事実は、頭の片隅に残ることになりました。

以上のことから、関心を持ってその書籍を読み込んでいくと、著者が『レバレッジ特許翻訳講座』という講座で翻訳スキルを獲得したことがわかりました。早速インターネットでリサーチをしている自分がいました。

<2.2.2. 受講申し込みに至るまで>

講座の存在を知ってからは、ホームページを隅々まで見て、特許翻訳とはどういうものか、翻訳者になるにはどのようなステップが必要か、受講スタイルや価格については受容可能か、そして、受講生及び卒業生の情報から自分に再現性があるかどうかを確認しました。ホームページから得られる情報量だけでも他校とは圧倒的な差があり、まずはこの講座の内容を理解することが翻訳業についての理解を深めることにつながると考え、無料メールマガジンの登録を済ませて、講座案内とサンプル動画をダウンロードしました。

講座案内のページ数には驚きましたが、読み進めていく過程で、講座がどういう趣旨で成り立っているのか、翻訳業界はどういう構造をしているのか、そして、翻訳者を目指す人は一体どういう人なのかが見え始め、最終的には案内を全て読み通していました。

一方で、ディープラーニング技術の発展により、AI翻訳の精度も上がっている事実がある中で、翻訳業はこれからの時代も残り続けるものかどうか不安がありました。しかし、講座案内を熟読するうちに、その不安も解消されていきました。AIを恐れること自体がレベル不足の証左であって、そのレベルから脱却することが本講座の趣旨であることが見えてきたのです。とりわけ、講座案内からは講座運営者のほとばしる熱量や只者ではない玄人感がビシビシと伝わってきて、ますます講座に興味を持ち始めました。

また、特許翻訳業界に参入する上で一番のネックだと考えていた理系知識について、講座のホームページ上では、理系バックグラウンドの有無はあまり問題ないと謳われているが、実際には講座でどのように知識のギャップを埋めていくのか不安がありました。受講した際の具体的なイメージをつかむべく、化学/物理関連のサンプル動画を見てみると、基礎の基礎から解説されており、比喩を用いたわかりやすい説明がなされていました。これであれば、高校レベルの理系知識に大穴が空いている私でも、文系コンプレックスを解消して特許翻訳ができるようになるかもしれないと思いました。

私は、社会人として仕事をするようになってから、理系知識がないと不利になる場面に少なからず遭遇してきました。仕事をしながら基本的な内容を体系的に学び直す余裕はなく、その場しのぎで理解したふりをしてやり過ごしていましたが、手ごたえがなく後味の悪さを噛みしめる連続でした。また、これからの時代は、文系理系の垣根を無くすことが重要だと言われていることから、理系科目に対するコンプレックスを無くして脳のOSをアップデートする必要性を認識していました。以上のことから、時間が取れる今こそ、化学/物理を学び直して高校時代のツケを払うタイミングだと強く感じたのです。

動画サンプルには、具体的な特許翻訳学習法として、特許明細書の公開訳文を利用した実践的な講義も含まれていました。時間があったので、早速動画に合わせて講師の手法を真似しながら、特許明細書を読む練習をしました。特許明細書は難解な文章の固まりであるイメージが強かったのですが、講師の解説により案外と面白いものであることがわかってきました。講師の思考法やテクニックをマスターすれば、自分も特許翻訳ができるようになるという感覚がつかめました。

この時点でレバレッジ特許翻訳講座の受講に対する意思は固まりかけていたのですが、独学の可能性もまだ捨てきれませんでした。というのも、これまで講座を受講して資格を取ったり、スキルを上げたりした経験がなく、その必要性についても疑問視することが多かったからです。TOEICについては過去問で十分でしたし、楽器演奏やコンピューター作曲法(DTM)を学ぶにも、体験講座に行ってみるものの、その価値がわからず、自分で試行錯誤してスキルを獲得できていました。

そのため、早割制度があることは知っていましたが、1ヶ月間は受講の意思決定を留保しました。その間、講座案内で紹介されていた書籍の『化学のドレミファ』を全巻図書館で借りてきて読み、同じく紹介されていた書籍の『民法案内1 私法の道しるべ』を読み、そして、医薬関連の特許明細書を用いて対訳練習をしてみました。その過程で、学習方法に迷いが生じ、現状の自分に足りない能力が可視化されていきました。そのギャップを独学で埋めていくことを考えると、時間がかかり過ぎて人生が終わってしまうように思えました。

確かに独学で成功した経験はあるけれども、それは時間が無限にあると感じられていた10〜20代のときに判断して経験したことであって、30代以降は別の時間感覚で物事に対応していかないと人生を無駄にすると思いました。そこで、投資をして時間を買うという発想に基づいて、講座を受講する決意を固めました。

投資をすると決めたからには早期に結果を出そうと、受講コースは最高位のものを候補にしました。投資をする際にはなるべく大きな投資をすると、結果的にリターンも大きくなることが経験則からわかっていたからです。最高位の2年コースには、講師が作成した『翻訳メモリ』と、『KokoDoki(翻訳支援ツール&ワードプレスブログ開設マスター講座)』サービス購入割引、『イートモ(医学翻訳対訳ソフト)』購入割引がパッケージ化されていました。

販売されている翻訳メモリが実務上有益であることは、受講案内の講座受講生の声やサンプル動画の内容から明らかでありました。翻訳支援ツールの習得については、翻訳の本質ではないので、操作に通じた人から要点を手短に教えてもらった方が効率的だと判断しました。ブログ開設については、翻訳者としてのキャリアがない者にとって、信用の問題からブランディングに必須であると想像できました。ただし、開設作業やデザイン自体に時間をかける必要はないと思えたので、サービスを活用すべきだと判断しました。『イートモ』については、医療分野が稼げる分野であることを知っていたので、持っておいて損はないだろうと考えました。

以上の考察から、最高位コースでの受講を決め、最終的に、特許翻訳以外にもビジネスや他の関連スキル等、拡張性を持ち合わせている講座のポテンシャルに納得し、受講の申し込みをしました。

3. 受講期間中の行動履歴

【3.1. 受講1ヶ月目:全体像の把握】

講座を受講してからは、まず動画ファイル及び各種資料のダウンロード作業を始めました。ダウンロードしたデータはバックアップをする必要がありますが、バックアップの知識が不十分であったので、関連動画を視聴しました。理解を深めた上で、毎日のデータの差分を自動的にバックアップできるよう、HDDを購入してセットアップしました。動画ファイルについては、ファイル名からおおよその内容を推測して、カテゴリーごとにフォルダを分けて整理。この作業過程で、講座の輪郭がぼんやりと見えてきました。

次に、様々な背景を持つ講座受講生に向けられたコンテンツを、自分はどのように消化すべきか検討しました。講座での学習をスムーズに進めるために、初めに講師の考え方や視点を可能な限り理解し、講座の全体像を把握することを優先事項としました。

そこで、X〜Zシリーズの紙資料をマーカーで線を引きながら読み通しました。特にXシリーズには、講座の趣旨と必要な翻訳ツールを理解するのに最適な情報が体系的に記載されていました。読み進めながら、紹介されているソフトウェアを一通り試し、翻訳作業に必要なスキルを理解して、購入すべきツールや辞書をリストアップしていきました。

Yシリーズには、翻訳支援ツールである『SDL Trados Studio』を使用した対訳収集方法が記載されていました。この時点で『Trados Studio Freelance Plus』のライセンスを購入していたので、実際にTradosを起動し手を動かして練習しました。プロジェクトの作成から、画面構成の把握、新規翻訳メモリ/用語集の作成、エクセルファイルから用語集へのデータ移行、対訳登録、レポート解析までを一通り試してみました。

Zシリーズにはトライアルについての概要が記載されていました。それによって、トライアルの合格がまずは当面の目標となることを理解しました。その後、トライアルの内容を具体的に知り、現状の自分の翻訳レベルを確かめるために、『トライアルレビュー』と題された、トライアル一件分の動画ファイルを追従して、実際に翻訳してみました。その結果、トライアルの厳しさを実感すると同時に、一文に向き合い訳文を作り出す楽しさがわかりました。

X〜Zシリーズから、翻訳作業に必要なツールと手法を理解し、翻訳の処理速度を上げることの重要性を知ったので、初期投資として、ローラーバーマウスと東プレキーボードを導入しました。

続いて、翻訳者としてのゴールを意識することが重要だと教わっていたので、当面の目標となるトライアル応募に向けて、CV作成に関する動画をまとめて視聴しました。CVに記載する専門分野を仮決定すべく、『XMind』を利用したマインドマップの作り方を学習しながら経歴を棚卸ししました。分野の調査として、特許庁の特許出願技術動向調査を参考にする方法を知り、トレンド、興味が湧くもの、自分の経歴と親和性があるもの、という観点で専門分野を絞っていきました。

ひとまず専門分野を電気/通信と仮決定した後は、音声認識技術に関する特許明細書を一件、未知語を調べてノートを作成しながら英文と日文の両方で熟読しました。その結果、まずは化学/物理の動画シリーズを完了させることが優先事項であると判断するに至りました。その理由は、化学/物理の基礎知識の不足により、読解速度が非常に遅かったからです。高レートで安定して実ジョブを受注するために、露天掘り勉強や基礎固めを十分に行うことを行動指針にしました。

また、学習初期の段階からブログを開設することが重要だと判断し、『KokoDoki』サービスを利用してブログ開設作業に着手しました。学習過程の記事化を通じて、書く力を鍛え、ブランディングを図り、広告収入も見込む。翻訳者として仕事を得るために、できる限り貪欲に何でも試してみようと思いました。

一方で、特許翻訳に関連する仕事についてもほとんど何も知らない状態でした。そこで、弁理士やサーチャー等の仕事内容を整理し、特許出願手続きや特許権等の制度について、大まかに理解するようにしました。調べた内容は資産化することが大事だということを学び、『知子の情報』というデータベースを導入して逐一記録するようにし、紙資料は印刷してファイリングする癖をつけました。

翻訳業界についての理解に関しては、この時期、タイミング良く翻訳祭に参加することができたので、参加企業をリサーチして臨み、業界の雰囲気やキーパーソンの把握、将来的な営業の予習をするようにしました。

講座の全体像、現在の自分のレベル、翻訳業界の構造を大まかに把握できたところで、年間スケジュールの作成に着手しました。翻訳業界において繁忙期や人手不足の時期があることを考慮し、学習ペースを見積もって、トライアル受験時期及び目標合格時期を設定。それに合わせ、トライアル応募用のCVをたたき台として作成しました。

この時点で、講師に初めてSkype相談をお願いしました。作成したスケジュールとCVを客観的に評価してもらい、必要な部分を修正することで、講座を本格的にスタートさせる準備が整いました。

【3.2. 受講2〜4ヶ月目:化学/物理の学習】

『岡野の化学』『橋元の物理』動画シリーズを利用した、化学/物理の基礎固めを開始しました。初めはシリーズの動画数に圧倒され、スケジュール通りに終わらせることができるか不安を感じていましたが、次第に学習方法が確立されていき、進捗ペースが加速していきました。私の場合は1日あたり平均して12時間を勉強に充てることができましたので、約3ヶ月半で全単元の学習を一通り終えました。

講義では、新しい学習単元に入る際に、キーワードを先に調べておくことを教わりました。さらに、そのキーワードから派生する概念についても確認し予習をしておくことが重要でした。参考書1ページ分の内容を予習するのに半日以上かかることもありましたが、そうすることで結果的に後のページをめくるスピードが加速していきました。また、「化学結合」「酸と塩基」「分子間力」「力学」などといった、知識全体の要となる単元については、時間をかけて学ぶことが求められましたが、それには相当の意味があって、その部分について逃げずにしっかりと理解しておくことで、後の応用分野や各論での学習速度が加速しました。

学習過程において、理解に苦労する複雑な概念については、ブログ記事として理解の道筋を残しておくようにしました。公に向けた記事を作成することにより、内容の理解を徹底しなければならないという緊張感が生まれ、学習効率が高まると考えたからです。記事化対象となる内容は、その多くが大学レベルの知識を要するものであって、講師からも理解するように勧められるものでした。学習の目的は、専門的技術文書を翻訳できるようになることですから、基礎固めをしている最中でも、なるべく背伸びをして大学レベルの学習を採り入れ、成長の伸び代を作るようにしました。

また、学習内容を大学レベルへ接続することに関しては、動画シリーズで頻繁に紹介される化学/物理の学習サイトを参考にすることが有効でした。それらのサイトでは、高校と大学の橋掛けとなるレベルでの解説記事が多くありましたので、常に高校レベルの参考書と並行して読むようにし、単元ごとの理解を深めていきました。

とはいえ、基礎固め中は、目の前の基礎レベルの学習をこなすことだけに集中してしまう傾向があります。そこで、実ジョブを得て稼ぐというゴールを忘れないようにするために、講師のアドバイスに従い、学習した内容に関わる特許明細書を読む訓練をしました。

講座では、弁理士の方による『砂漠を走る舟』と題されたWEB記事が折に触れて紹介されます。記事の内容は、特許実務スキルが、高校、大学、専門レベルなど、幾段階もの知識を積み上げてようやく獲得できるものであることを諭すものです。積み木のようなイラストを使って説明されているのですが、私は、高校レベルでの学習だけでは特許翻訳ができるようにはならないことを自分にわからせるために、その記事を印刷してトイレに貼っておき、いつでも意識できるようにしました。

化学/物理シリーズから得られたものには、理系科目の知識だけでなく、正しい勉強方法や勉強に対する心構えも含まれます。以下のような能力が育まれました。

・知らない概念について逐一調べてデータベースに蓄積する力
・複雑な多義語や類似概念についてマインドマップで整理する力
・ノートをカスタマイズして知識を定着させる力
・理解速度を上げるために先読みする力
・学習内容をわかりやすく例える力

小手先のテクニックではないコアとなる能力は、すぐに習得できるものではなく、汗をかいて作業を続けていく上でようやく定着していくものだと実感しました。プロフェッショナルの翻訳者として知的労働を行う以上、常に一定のクオリティを維持して成果物をアウトプットし続けないとならないので、動画シリーズを通して負荷がかかるトレーニングを集中的に行うことにより、知的労働に必要な基礎体力を身につけることができたのは収穫でした。

化学/物理の動画を全て消化する頃には、もはや理系知識を持っていないことに対するコンプレックスは消滅しており、脳のOSがアップデートされている感覚がありました。

【3.3. 受講5〜6ヶ月目】

<3.3.1. 専門分野の決定とその学習>

化学/物理の基礎固めを終えて、次に取り掛かるべきことは、トライアル応募に向けての準備でした。応募のためには、専門分野を決定し、当たり前ですがその分野で翻訳ができることが前提となります。したがって、まずは専門分野を何にするか考える時間を設けました。

私の経歴を棚卸しすると、音楽機材に関する知識が多いことから、電気/通信/機械分野が客観的に見ても説得力の高い専門分野として候補に挙がりました。しかし、これらの分野は和訳の需要が少ない印象があり、また、自分が大いに興味を持って勉強していけるか不安が残りました。これに対し、バイオ・メディカル分野は、和訳需要の大きさが魅力的でしたし、知的好奇心が湧いてくる対象でもありました。難易度が高く、参入が困難であることは想定できましたが、そうであるからこそ挑戦する価値があるので、思い切ってバイオ・メディカルを専門分野に設定しました。

バイオ・メディカル分野の学習に関しては、特許明細書の読解と専門書を用いた学習を行いました。まず、特許明細書は殺菌/消毒関連の発明から選びました。化学の学習時に、殺菌メカニズムについて深堀して調べた経験があったので、入り口として最適だと思われたからです。続いて、講師のアドバイスに従い、免疫関連の発明を対象にして、共通のキーワードから明細書を50件選び出し、背景技術部分のみを抽出して、公開時期が古いものから順につなぎあわせた編集物を用意しました。これにより、経時的に技術の変遷を追っていくことができ、加えて、当業者が課題として捉えている内容や、多くの明細書で一貫して説明がなされる重要事項を、効率よく把握することができました。膨大に広がる専門的知識空間から、翻訳実務に必要な範囲を見切るには、この方法が最適だと納得しました。

特許明細書を読むコツを大まかに理解してからは、抗体に関する発明を中心に、バイオ関連の明細書の多読に励みました。なお、明細書を読み進める過程で、不足していると気づいた生物の基礎知識については、高校で履修する範囲の内容を、YouTube動画を利用してまとめて勉強しました。

専門書を用いた学習においては、ノートを作成しながら専門的内容を理解していきました。専門書で図解されている内容は、重要な概念であることが多いので、図をコピー用紙に手書きで模写し、色付けをして、記憶に深く残るようにしました。このような図を学習内容としてブログ記事に載せていた際に、その記事を読んで下さった講師から、文字から得られた情報を図としてアウトプットする練習を積むとさらに効果的であると教わり、早速実行しました。ブログを利用して日々の成果を記録しておけば、講師から適切なアドバイスをもらえるので、成長を加速させることができました。

手書きした図が一定数蓄積されたところで、コピー用紙から図を切り抜いて大きな模造紙に張り付け、概念ごとにグルーピングし、それぞれの関係性を理解できるようにしました。このように、一定数の重要な概念をパターンとして脳内に取り込んでいけば、効率よく応用力が身につくであろうと考えました。研究者ではない翻訳者としては、分厚い専門書を全て読み終えることは非効率的であるように思われます。応用範囲について理解する必要が生じた際には、該当する基本的パターンとの差分に注目して、その都度理解していけば十分だと判断し、基本概念の把握を徹底することに注力しました。

<3.3.2. 言語変換スキルの習得>

専門分野の学習と並行して、試しに自力翻訳を行いました。化学分野(殺菌/消毒関連)とバイオ分野(癌免疫療法関連)の特許明細書を素材にして翻訳しましたが、全てを訳出するには至りませんでした。自力翻訳に資するスキルがまだ身についていないことが、途中で明確になったからです。翻訳一般に通じる、汎用的な言語変換テクニックを習得する必要がありました。

そこで、インターネット上の『翻訳の泉』というサイトを活用して、構文、前置詞、助動詞などのカテゴリーごとに紹介されている定訳を覚えていくことにしました。例文は逐一データベースに蓄積するとともに、エクセルでカテゴリーごとのシートを用意し、例文を一覧表示できるようにしました。このような仕込みをしておくことが、納期のある実務に対応するために重要だと考えたからです。

また、翻訳のヒントを知るには、翻訳会社が公表しているコラムも有用でした。目から鱗が落ちるような情報が無料で掲載されているので、目的を持って情報を取りに行けば、翻訳スクール数回分の内容を瞬時に獲得できるように思えました。

<3.3.3. クライアントリスト作成>

トライアル応募準備の一環として、応募先と応募戦略を考慮するために、クライアント(翻訳会社及び特許事務所)のリサーチに取り掛かりました。翻訳者向け雑誌の巻末に収載されている翻訳会社リストや、特許庁の事業者リストを参考にして、エクセルに調査内容をまとめていきました。

翻訳者募集情報はもとより、取扱文書などのサービス内容や、その会社のアピールポイントを確認することで、各社がどのような翻訳者を必要としているかが理解できるようになりました。集めた情報から共通項を抽出することで、目指すべき翻訳者像が見えてきたので、付箋に箇条書きで考察事項をメモし、それをPCの画面下に張り付けていつでも読める状態にしました。合計100社ほどリストアップした時点でリサーチを一旦止め、成長の度合いに対応した応募順を考えていきました。

<3.3.4. 特許出願実務と特許法の概要把握>

発明から権利化までの実務パイプラインにおいて、特許翻訳者が関与するタイミングと範囲を理解するために、特許出願実務の流れを、弁理士の方による解説を通じて把握しました。PCT出願とパリルート出願との違い、優先権制度、オフィスアクション等、特許翻訳を担う上で知っておくべき事項を重点的に理解することで、特許明細書、とりわけ請求項を一段高い視点で読むことができるようになりました。

また、特許権取得の要件である、新規性及び進歩性についても理解しておくことが重要だと考え、概要を把握した上で、『特許判例百選』を購入し、判例解説を読みました。

このような実務的知識の獲得は、翻訳や専門分野の学習に対するモチベーションが下がった際に行うと、気分転換になって効率的でした。以降、言語的学習と専門分野学習、特許実務学習を組み合わせて、シナジー効果を意識しながら、総合的に翻訳スキルを向上させる学習スタイルを採り入れました。

<3.3.5. 翻訳環境整備>

基礎学習を中心としていた段階では、MacBook ProにWindows10を仮想環境で立ち上げてTrados等を起動させていました。しかし、トライアル応募に向けて整備された翻訳作業環境が必要であると考え、デスクトップPCと大画面ディスプレイへの投資を決めました。PCの選択に関しては、講師にアドバイスをもらい、余裕を持ったスペックで購入しました。ディスプレイは31.5インチを2枚導入し、デュアルディスプレイ環境にしました。これにより、目と画面との距離を物理的に大きく取ることができ、その結果、目の疲れが激減しました。また、ディスプレイ上の作業空間を広げることに加え、デスク上のスペースを拡張して、ノートや資料を十分に広げられる作業空間を確保しました。

PCと同時に、購入リストに載せていた辞書を10万円分まとめて購入し、串刺し検索ソフト(LogoVista及びLogophile)を導入して、翻訳ができる状態にセットアップしました。必要な装備に対して先行投資をすることは、業界参入への通過儀礼だと考え、思い切ってお金を使いましたが、その結果、投資分を何倍にもして回収する意気込みが湧いてきました。

【3.4. 受講7〜9ヶ月目】

<3.4.1. 特許明細書を1件全て訳す>

専門分野の学習と言語変換スキルの習得をある程度進めたことにより、特許明細書の公開訳を上書きできるくらいの実力がつき始めたような感覚を得ることができました。そこで、公開訳のある抗体関連発明の特許明細書を題材にして、約6,000ワード全てを自力翻訳することにしました。

正確に訳すことを第一の目的としたため、処理速度は計測しませんでしたが、実ジョブを想定して、調査からチェックまでの工程を一通り完了させました。その過程においては、行動内容を逐一記録しておき、気づきや改善点などをメモしておくようにしました。訳文を納品可能状態までに仕上げた後は、残しておいた記録を基に、作業スキームを確立させるための案をマインドマップで練り上げました。

完成させた訳文のクオリティは、公開訳と一文ずつ比較して確認しました。差が生じた部分については、公開訳と自訳のどちらがベターであるかを念入りに分析しました。公開訳の方がベターであった場合、ミスが生じた原因を明らかにし、解決策を考えるようにしました。分析した内容はフィッシュボーン図を使って可視化し、いつでも確認できる状態にしておきました。一方で、公開訳にミスがあると断定できた場合は、その内容と共に修正案をコメントとして残しておき、トライアル応募時の資料となるようにしました。

<3.4.2. 新型コロナウイルスに関するブログ記事作成>

新型コロナウイルスが全世界で猛威を振るうようになり、医学雑誌において症状や管理方法が盛んに報告されていることを知り、最先端の情報をキャッチアップするために、注目されている論文を読んでブログ記事を書くことにしました。医学雑誌の中でもとりわけ著名なThe New England Journal of Medicine(NEJM)から、新型コロナウイルスと血圧の関係について報告している英字論文をピックアップし、翻訳しながら内容を確認しました。

内容を理解するには循環器やウイルス学についての知識が必要であったため、これを機に基礎知識について調べ、その内容を記事化していくことにしました。重要な概念については図解し、読者が理解しやすい記事にすることを心掛けました。医学系の英字論文を読むのは初めてでしたが、題材にした論文は洗練された構造と文章で構築されていたため、想像していたよりも読みやすいものでした。したがって、著者の主張やその根拠を正確に理解し、自分の言葉で伝えることができました。

結果的に長文のブログ記事となり、執筆に相当なエネルギーと時間を注ぎましたが、この経験は将来的に活かされるものとなりました。また、記事は独自の資産となるので、翻訳者としてのブランディングにも有用でした。

<3.4.3. トライアル初挑戦>

応募:2社
書類通過:1社
合格:0社

専門分野の学習が進んだこと、翻訳作業環境が整ったこと、さらには翻訳スキームが構築されたことを踏まえ、現在の自分の実力が市場のニーズに応えられるものであるかを、トライアルに応募して確認することにしました。

応募準備を進める上で一番の懸念事項となったのは、経験者募集の条件下で書類選考を突破できるかどうかでした。これに対しては、特許明細書公開訳の不足点に対するチェッカー的コメントをまとめた資料のほか、専門性を担保するブログ記事、学習経緯などを総合的にアピールしたCVを用意して可能性を探りました。結果として、求人募集をしていた翻訳会社2社に応募したところ、1社で書類選考が通り、翻訳課題を受け取ることができました。

トライアル課題の内容は、対象分野における種々の領域から選別された翻訳対象を含み、比較的タイトな時間制限が課されているものでした。訳語確定や、コメントの付与に対する判断に苦労したものの、全力を尽くして何とか制限時間内に提出することはできました。日を置いて不合格の通知が届いた際には、相当なショックを受け、1日中寝込んでしまいました。辛い作業ではありましたが、敗因分析をした内容をブログ記事にまとめ、講師からアドバイスをいただきました。

結果はさておき、トライアルに挑戦したことは、以降の行動に有益な効果を及ぼしました。
トライアルに応募するまでは、自分の経歴で果たして書類が通過するのかという不安を抱えていましたし、課題に対して歯が立たないようであれば、それまでの努力は何だったのかと落ち込むことを恐れていました。しかし、思い切って一歩踏み出すことで、トライアルに対する心理的ハードルは下がり、課題を通じて市場のニーズを予想することができるようになりました。自分の実力の現在地が把握できたところで、意識改革をして行動計画を見直しました。

<3.4.4. 翻訳力集中強化>

トライアルの結果を受けてまず行うべきことは、翻訳力の底上げでした。医学翻訳向けの対訳ソフト『イートモ』を利用して、とにかく量をこなすことを念頭において翻訳トレーニングをしました。『イートモ』に収録されているセンテンスは、実際に翻訳対象となる文書から抽出されたものなので、実務で通用する翻訳力を身につけるという目的に向けて、効率よくスキルを磨くことができました。

『イートモ』を使用したトレーニングでは、任意のキーワードで翻訳対象を絞った後、提示されたセンテンスを自分で訳し、次いで訳例と比較して訳文のクオリティを検討しました。同時に、ニューラル機械翻訳ツール『DeepL』が出力した訳文の分析も行いました。翻訳作業の高速化を視野に入れて、機械翻訳のクオリティを把握しておくことが重要だと考えたからです。さらに、センテンスごとの翻訳作業で得られた気づきを記録しておくことで、オリジナルの翻訳マニュアルを作成することができました。

以上のようなトレーニングをひたすら繰り返すうちに、翻訳のコツと機械翻訳の出力パターンが徐々につかめてきました。翻訳とは、原文の情報を希釈して一段高い抽象度の情報を作り出し、それを再度具体化して訳文に落とし込む作業であることがわかると、置換処理と適切な翻訳処理との違いが明確になり、採用すべき翻訳アプローチが見出せるようになりました。つまり、確度の高い訳文を生成するには、抽象と具体を往復する思考法を癖づけ、原文の情報をイメージとして頭の中で再現できるようにし、そのイメージをターゲット言語に適切な表現でアウトプットすることが肝要だということです。これは機械翻訳にはできない芸当であり、そうであるからこそ追及すべきアプローチだと言えます。

【3.5. 受講10〜11ヶ月目:実ジョブのシミュレーション】

遺伝子工学についての学習をして専門分野の幅を広げつつ、請求項の適切な訳出方法など、特許翻訳特有のルールについて理解を深めた後は、納期を設定した実戦形式の翻訳練習を始めました。実ジョブのシミュレーションは計3回行い、翻訳対象としたドキュメントはバイオ関連の特許明細書で、約7,000〜約23,000ワード数のものを選びました。また、発明の名称から内容が具体的か抽象的かを推測できるので、両者とも翻訳対象にして、作業工程の違いや負荷のかかり具合などを確認しました。

シミュレーションでは、1時間ごとの処理速度を計測し、エクセルで記録をしました。そうすることで、特許明細書において訳出に時間を要するパートが浮かび上がり、加えて、1日の作業における集中力の変遷が可視化されました。私の場合、訳文のクオリティを維持できる作業時間は8.5時間であることがわかり、この時間内で処理速度を可能な限り高めることが目標になりました。

実ジョブをシミュレーションする第一の目的は、実際に案件が依頼された場合に、可能な限りスムーズに対応できるように準備をしておくためです。常識的な範囲で納期を設定し、それを厳守するために生活を管理することから始めました。パフォーマンスを最大限に上げるためには、どの時間帯に何をすべきかを考え、試行錯誤しました。

シミュレーションとはいえ、納期内に納品可能状態まで翻訳文を仕上げることにより、翻訳でお金を稼ぐイメージをつかめたことは収穫でした。一方で、処理速度を高めなければ作業時間を増やすほかなく、それによって訳文のクオリティが下がる危険性を理解しました。したがって、処理速度の向上のために、『PAT-Transer』等のツールの導入、作業スキームの最適化、検索ストラテジーの見直しなど、あらゆる角度からの改善を検討しました。

シミュレーションを重ねていくうちに、作業スキームが確立していき、効率が上がっていきました。例えば、翻訳に取り掛かる前の調査の深度が最適化され、また、チェック作業を見据えて翻訳中にどのような処理をしておくべきかが想像できるようになりました。訳出スピードに関しても、センテンスの内容によって緩急をつけ、不必要に訳文の質を高めることを避けるなど、スループットの向上を意識するようにしました。以上のような工夫により、処理速度は、クライアントから求められる1日あたりの処理量2,000ワードに近づいていきました。

訳出を終えた後は、公開訳との比較を丁寧に行いました。特許明細書の公開訳は玉石混交であると言われますが、優れた公開訳をある程度選別できるようになると、公開訳が絶好の勉強素材となります。文脈依存の多義語に対する訳し分けの精度の高さ、流暢性、指示代名詞の処理、明細書全体を俯瞰した訳出がなされていること等、参考にすべき事項は多くあり、それらをすぐに習得することの難しさがわかりました。自分の訳文をこのようなSランク又はAランクのクオリティに近づけるべく、VISUAL THESAURUSを用いて多義語の概念を深いレベルで把握し、類似語の住み分けを明確にするなど、時間はかかるが本質的に意味のある作業を大事にする姿勢を身につけました。


【3.6. 受講12〜13ヶ月目】

<3.6.1. トライアル集中応募(第1弾)>

講座を受講してから1年目を迎えるころに、年単位のスケジュールに則って、仕事を獲得するためのトライアル応募を集中的に行いました。

応募:7社
書類通過:4社
合格:3社 [特許翻訳(和訳):化学1社、産業翻訳(和訳):医薬1社、産業翻訳(英訳):分野指定なし1社]

書類選考を通過しなければ話にならないため、CVには実ジョブのシミュレーションデータを記載し、どの分野であればどのくらいの処理速度が出せるのかを応募先に伝えるなど、可能な限りの工夫をしました。また、書類選考をしないでトライアル課題を送付してくれる翻訳会社もあるので、そういった応募先をリサーチし、課題を獲得しました。

課題は、CVでアピールした専門分野とは異なる分野のものが送られてくることがあります。私は特許翻訳のバイオを専門分野として謳っていましたが、半導体、通信、機械、有機化学、ビジネス文書といった、他分野の文章の翻訳を課題としてこなしました。翻訳会社が翻訳者に求めることは、どの分野でもクレームが来ないレベルで対処できることであると深く理解しました。講座では、そのことを見据えて指導していただけるので、他分野の課題においても、出題意図を推測しながら落ち着いて対応することができました。

国内だけでなく海外の翻訳会社にも応募しました。英文のCVを作成するにはエネルギーを必要としますが、テンプレートを利用し、海外の翻訳会社のホームページから文章表現を真似ることによって、形にすることができました。海外企業との取引には不安を感じるところもありましたが、何事も試してみなければ実態はわからないので、あまり躊躇せずに応募しました。

<3.6.2. 高校数学の学習>

トライアルの書類選考期間や結果通知までの期間を利用し、高校数学の学び直しをしました。特許技術の中には、微分積分の概念を把握しておくと理解が進むものが多くあることを認識していましたので、時間を取って学習したいと考えていたからです。また、トライアルではエネルギーを大量に使うので、空いた時間があったとしても翻訳練習をする気にはなれず、気分転換となるような作業を欲していました。そういった意味で数学は丁度良く、解を求める計算をひたすら行うことで、トライアルの結果がわからないもやもやとした気分が緩和されました。

【3.7. 受講14〜15ヶ月目】

<3.7.1. 実ジョブを経験>

トライアル合格後、契約を交わした1社から早速仕事の依頼がありました。そのクライアントは、産業翻訳のバイオ・メディカル分野の和訳案件を多く抱えており、私は、主に添付文書、取扱説明書、及びマーケティング文書の翻訳又はチェックを請け負いました。実際に翻訳でお金を稼ぐ経験をし、ステージの変化を感じました。

仕事をする過程で、プロジェクトマネージャーとのやり取りや、指定された納品方法及びスタイルガイドの遵守など、実務上必要な作業に慣れていきました。実務では、クライアントから使うように指示された翻訳支援ツール(Memsource)で案件を処理することもあり、臨機応変な対応が求められました。なお、業務上の必要性を考え、この時点で翻訳支援ツールのmemoQを購入しました。

依頼された案件は、10,000ワード未満の短いものが多かったのですが、実ジョブに慣れて実績を増やしていくには最適でした。実ジョブのシミュレーションをした甲斐もあり、慌てることなく納期までに納品でき、それによってクライアントからも継続的に依頼される状態になりました。ただし、依頼された案件を全て引き受けることはせず、勉強時間を十分に確保できるようにスケジューリングしました。

<3.7.2. 英訳練習>

和訳翻訳者として応募しても、トライアルでは和訳と英訳の両方で課題を提出する必要がある場合もあります。私もそのようなトライアルを受けており、結果として英訳が評価され登録に至ったのですが、それまで英訳の練習はしてこなかったので、実務に対応できる英訳スキルを早急に身につける必要がありました。

英訳に慣れるには、実際に英訳を多く行うしかないので、特許公開訳を利用した対訳練習や『イートモ』でのトレーニングを行い、メモリと用語集を強化していきました。また、専門領域の拡張を目的とした勉強の過程において、勉強内容を英語で表現してブログ記事にまとめる練習もしました。

<3.7.3. 展示会参加>

講座受講前に、技術関連の展示会とはどういうものであるかを確認するため、『JASIS』に参加したことがありました。展示会の華やかさに心が躍りましたが、当時は背景知識がなかったので、展示製品がどのようなものか全くわからず、居心地の悪さを感じていました。

理系科目の知識をつけ、バイオ・メディカルを専門分野として設定するようになった今、レベルがどのくらい上がったかを実感するために、情報収集を兼ねて再度展示会に参加することにしました。今回は『JASIS』ではなく、専門分野により焦点を合わせた『再生医療EXPO』に行き、翻訳に必要な情報を得ることにしました。

展示会では、製品の外観や手触り等、インターネット上では得られない情報を積極的に集めました。特許明細書の実施例等に登場する多種多様な実験装置やキットに関する翻訳を、自分の五感を通じて得た情報を基にして行えるようにしたいと考えたからです。各ブースを訪問する際には担当者と会話する機会もあり、専門的内容を話すことができている自分を発見できたほか、依然としてレベルが足りていないことも実感できました。その過程で、ソースクライアントが翻訳者に対してどのような印象を持っているのかをそれとなく理解することができ、考えさせられることがありました。

展示会におけるセミナーでは、業界で注目される技術が説明されていたので、技術動向はもとより、フォローすべき研究者についても把握することができました。最新情報はインターネット上にはなく、リアルの場で手に入れるしかないと再認識しました。

展示会参加の副次的な目的として、翻訳案件を受注するための営業があり、ソースクライアントから案件を得る可能性を探りました。結果として、潜在的なクライアントと名刺を交換することはできましたが、その後のアクションには至っていません。そのクライアントは海外の企業で、日本市場への参入を試みていましたが、製品カタログが日本語ではなく、製品訴求がうまくなされていませんでした。私がそのカタログを翻訳できることを伝えると、担当者は本国の責任者に伝えておくことを約束してくれました。結果的に受注には至っておりませんが、ソースクライアントから直接的に案件を受注するヒントが得られました。

【3.8. 受講16〜17ヶ月目】

<3.8.1. トライアル集中応募(第2弾)>

応募:8社
書類通過:2社
合格:1社 [特許翻訳(和訳):医薬/化学1社]

新たな得意先の開拓を目的として、トライアルの応募を再開しました。実績として実ジョブの経験とトライアル合格歴を記載できるようになったので、応募条件が比較的高い翻訳会社に応募してみることにしました。しかし、それほど甘くはなく、書類通過には至りませんでした。

また、求人媒体に掲載されている募集に応募するものの、こちらも書類通過できませんでした。積極的に募集をかけている求人には多くの応募者が集まってレッドオーシャン化するので、経験が浅い翻訳者は相対的に不利になるかもしれない、という洞察が得られました。

したがって、まずは実績を増やすことを第一に考え、それと同時に、広告宣伝に積極的ではないように思われる翻訳会社へアプローチするようにしました。このアプローチが功を奏し、1社からはトライアル応募後すぐに課題が送られ、持続可能なレートで登録することができました。

<3.8.2. 実力強化>

トライアル応募を通じて、自分の実力が依然としてトライアルに確実に合格できるレベルには達していないことを認識できたので、言語変換における基礎力を底上げするための練習をしました。広く知られている書籍『翻訳の布石と定石』をまだ読んでいなかったので、これを機にこの書籍を用いて翻訳作法を学び直しました。データベースに訳例を蓄積しつつ、エクセルで一覧できるようにして、実務で使いやすいように書籍の内容を加工しました。

専門分野についてもさらに深堀する必要性を認め、最新の技術動向をリサーチして、理解が浅い領域について学習しました。この際、トライアルの面接等において専門分野についての質問がなされた場合に、十分にその分野に精通していることをアピールできるように、調査した内容を編集して、質問に回答できる態勢を整えておきました。

また、専門性を高めるために、日本生化学会に入会して学会誌を読み始めました。学会誌からは最前線の研究内容を知ることができるほか、文章が洗練されているので、分野特有の言葉の使い方を適切に身につけることができました。

加えて、少し背伸びをする形で特許実務に関わる知識の獲得に努めました。トップレベルの特許翻訳者として活躍するためには、特許明細書が書けるレベルまで実務の知識を有していなければならないと考えたからです。そこで、弁理士の方が読まれるような、専門性の高い実務ノウハウ書を購入し、少しずつ読み進めることで、権利化及び権利行使に耐えられる明細書とはどういうものかを理解していきました。

サポート要件や明確性要件など、翻訳に関係が深い特許要件についての理解を深めていくと、訳語確定に対する意識を改めなければならないことに気づかされました。例えば、広い範囲で権利が取れるだろうからと、安易に抽象度の高い訳語を採用しても、明確性に欠け誤解が生じ得るので、等価な言語変換を徹底する必要性があることを理解しました。

その他、特許審査基準や特許事務所が記事化したコラムを読んで、ライフサイエンス分野の実務において知っておくべき事項を把握する時間を設けました。

【3.9. 受講18〜19ヶ月目】

<3.9.1. トライアル集中応募(第3弾)>

応募:7社
書類通過:3社
合格:2社 [特許翻訳(和訳):医薬1社、特許/産業翻訳(和訳):医薬/医療機器1社]

実力強化月間を設けた後、その効果を形として反映させた翻訳サンプルを作成しました。それによって応募書類の説得力が高まったことを信じ、応募要件を満たす特許事務所など、比較的ハードルが高いと思われる求人募集に応募しました。結果として、書類通過に至らなかったケースの方が多かったのですが、依然と比較すると書類通過率は向上しました。

好条件を提示する海外の翻訳会社のトライアルでは、もう一歩力が及ばず、非常に残念な思いをしました。しかし、別のプロジェクトで仕事を依頼する可能性を残してくれました。一方で、新興の翻訳会社には登録でき、その会社が新規開拓をする際のトライアル突破要員として、持続可能なレートで起用されることになりました。

<3.9.2. 英訳練習>

実ジョブとトライアルに割く時間以外では英訳練習に励みました。以前に自力で英訳練習をした際の疑問点をまとめて解決するために、関連書籍を購入し、一つ一つ疑問点を解消させていきました。例えば、冠詞の使い方や、正しい動詞の選択、原文のリライトが許容される程度などは、多くの方が関心を寄せる事項であり、それらを解説する書籍が多くあります。しかし、情報を得ただけでは実際に翻訳ができるようにはならないので、実際に翻訳する量を増やすことを意識しました。

英訳を習得する第一の目的は仕事の幅を広げることですが、英訳の練習をすることで日本語の原文を注意深く読む癖がつくので、日本語を正しくアウトプットするための和訳スキルも同時に高められることに気がつきました。このシナジー効果に効率性を認め、英訳練習になるべく時間を割くようにしました。

【3.10. 受講20ヶ月目〜現時点】

<3.10.1. 実ジョブ>

以前に医薬分野の特許翻訳者として登録したものの、連絡がいっこうに来ないクライアントに対してメールをし、現在の自分の状況を伝えると同時に相手の状況を確認しました。担当者からは、特許翻訳の案件が少なくて発注できずにいたことを教えていただき、論文翻訳であれば依頼したいという旨を伝えられました。私が受注の意思を示したことにより、継続して依頼をいただけるようになり、それにしたがって1ヶ月間における実ジョブ対応時間の割合を増やしていきました。

この翻訳会社は現在の私のメインクライアントとなり、プロジェクトマネージャーとも気持ちの良い関係を築くことができています。依頼案件はバイオ・メディカル分野の論文和訳であって、部分和訳を数件まとめた案件や、20,000ワード前後の長文案件です。

これまでに対応した案件の中で一番負荷が高かったものは、ある疾患を対象にしたガイドラインに関わる論文でした。内容は総論的色彩が強く、2週間の作業時間を与えられるものの、その間は休みなく、意識がある全ての時間を翻訳作業に費やしました。この経験は大きな成功体験となり、難しい案件が依頼されたとしても、正面から立ち向かえば何とかなるという自信をつけることができました。

このクライアントとの契約レートは持続可能なものではありますが、十分に高いとは言えません。しかし、納品物に対するフィードバックが丁寧で、チェッカーによるレビュー内容が非常にためになります。チェッカーの人件費がかからないような実力が身につくまでは、しばらくこの条件で取引していきたいと考えています。

メインクライアントのほかに2社と継続して取引し、産業翻訳と特許翻訳の和訳案件を受注しています。産業翻訳の案件では、体外診断用医薬品関連の添付文書や、医療機器の取扱説明書、マーケティング資料等を担当することが多く、経験を積んだ案件のシリーズにおいては、1日3,000〜4,000ワードほどの高速処理ができるようになりました。しかし、単調な作業が多くやりがいを感じるのが難しいところもあり、論文和訳とは異なるストレスがあります。稼ぐには効率が良いのですが、頻繁に依頼されるわけではないこともあり、タイミングが合えば気分転換に受注するようにしています。

特許翻訳の案件においては、機械、通信、電機、化学、医薬など、様々な分野の和訳が依頼される状態です。自分の専門分野とは異なる案件についても、タイミングが合えばなるべく引き受けるようにしています。同じ分野にリソースを集中投下できないので、稼ぐ面では非効率的ですが、それでも受注する理由は、スキルの裾野を広げて対応力を向上させることが現段階では重要だと考えるからです。

<3.10.2. 対応した案件に関する分野の学習>

1ヶ月間における実ジョブ対応時間の割合を増やしたとはいえ、月の3分の1は、学習に充てる時間を設けています。学習内容は対応した案件に関わる事項にして、知識の定着を図り、今後依頼される可能性が高い類似案件に備えるようにしています。

論文和訳の案件は臨床試験に関するものが多いので、翻訳するのに十分な範囲で統計や薬事申請周りの勉強をしました。これによって医薬翻訳へシフトする道筋が見え始めたので、現在は『イートモ』制作者である成田氏のブログをフォローして、医薬品インタビューフォームの英訳練習をしています。英訳をする際には、AIを利用した翻訳手法の研究をしています。具体的に言えば、原文をプリエディットしてAIが認識しやすいようにし、出力内容を確かめてAIの癖を把握することで、高速処理の可能性を探っています。原文をリライトするには、規範となる典型的な言語変換パターンを大量に知っていなければならないので、『イートモ』の例文をなるべく多く読むことを心掛けています。

専門分野以外の案件では、5G、半導体、機械関連の案件を受注しているので、それらの背景知識の学習や、特有の表現を対訳で収集するようにしています。

<3.10.3. トライアル応募>

応募:2社
書類通過:1社
合格:1社 [産業翻訳(和訳):医薬/医療機器1社]

求人情報は常にチェックするようにしており、チャンスがあれば応募して市場のニーズを確かめています。特許事務所の求人に応募しましたが、書類が通過しなかったので、まだ実績不足であることが客観的にわかりました。そのほかに国内の有名翻訳会社に応募したところ、これまでで一番高いレートで契約することができました。仕事の打診はすぐにあり、継続して依頼をいただいておりますが、条件が悪くまだ受注には至っていません。

<3.10.4. 民法学習>

技術に関連した仕事や学習のみであると、正直なところお腹いっぱいに感じてしまうので、デザート感覚で民法の学習を始めました。大学では法学部に所属していたのですが、単位を取るだけの目的で民法の勉強をしていたので、学び直しをしたいと考えていました。実社会に出ると民法の必要性を強く認識しましたし、仕事では、法学部出身ということで期待されることがあっても、その期待に適切に応えることができない苦い経験があったからです。登録をした翻訳会社からも、私の経歴を見て法務関連の翻訳をしてほしいというリクエストがありました。

民法の学習は、将来的に翻訳業の対応分野を増やすことにもつながり、民法の特別法である特許法を理解するのにも役立ちます。したがって、気分転換も兼ねて少しずつ勉強を進めることにしました。参考書として内田貴先生の民法シリーズをメインに用い、各セクションの内容をデータベース上のカードに編集しています。加えて、我妻榮先生のダットサンで理解を深めるようにもしています。

民法の射程範囲は広く、学習には時間がかかりますが、少しずつ進めてきた結果、総則/物権総則/契約法総論を終え、現在は契約法各論の学習に至っています。法律に関する文章を読むことによって論理的思考力が身につくので、翻訳にも応用することができ、シナジー効果を実感しています。

4. 実績まとめ及び自己分析

【4.1. 実績まとめ】

2年間の講座受講期間における実績を下記のようにまとめます。
※NDAの関係から詳細は省略します。

トライアル応募:26社
→書類通過(書類選考がない場合を含む):11社
→課題突破(翻訳者としての登録):7社
・特許翻訳(和訳):化学/医薬
・産業翻訳(和訳):医薬/医療機器
・産業翻訳(英訳):分野指定なし

→実ジョブ依頼:5社
→継続取引:3社(和訳翻訳)
・論文翻訳:ガイドライン、医薬(臨床/非臨床)、分析法関連
・特許翻訳:機械、通信(5G)、化学(高分子材料)、電気(半導体関連)
・産業翻訳:添付文書(体外診断用医薬品)、取扱説明書/マーケティング資料(医療機器/医療関連ソフトウェア)

現在はクライアント3社と継続的に取引しています。1社をメインクライアントとして長文案件を受注し、スケジュールを鑑みて残りの2社から適宜受注するようにしています。3社ともほぼ同じ持続可能なレートで、月の売り上げは平均25万円(年収300万円ペース)になりました。なお、1ヶ月間の稼働日数は20日間以内に抑え、残りの時間は学習に充てるようにしています。

【4.2. 自己分析】

2年間の講座受講期間における基本的な行動指針は以下の通りです。

まずは全体像を把握して、長期的目標とそれを達成するための数段階に分けた短期的目標を考え、期限を設定する。次いで、直近の短期的目標に向けた行動を起こしてから、結果とその目標との差分を分析。その後、明らかになった差分を埋める時間を設け、次の目標に向けた行動に移す。このサイクルを繰り返しながら、経時的に深度を増加させていき、長期的目標に近づいていく。加えて、目標に向かって直線的に進むのではなく、焦らずに遠回りすることで、能力に広がりを持たせる。

講師のアドバイスに従い、以上の指針に沿って行動した結果、翻訳業未経験かつ理系バックグラウンドなしの状態から、実務翻訳(論文翻訳/特許翻訳/産業翻訳)で稼げるまでの状態になりました。また、専門分野は、現時点で市場ニーズが高いバイオ・メディカルに設定することができ、その他の分野についても適宜対応できる能力が身につきました。言語方向に関する翻訳スキルについては、実務可能レベルの和訳スキルだけでなく、英訳スキルもトライアル合格レベルにまで開発することができました。

このように自身のスキルに広がりを持たせることができたのは、「コアスキル」の強化を意識してきたからだと分析します。ここで用いる「コアスキル」とは、論理的思考力、アナロジー思考力、及び批判的思考力を包括したものとして定義し、それらは講師から教わることができるものです。いかなる業務及び分野にも共通して必要とされるコアスキルを鍛えることで、目的に応じて柔軟にスキルを特化させることができると実感しています。

2年間でこのように成長できたのは、環境が恵まれていたからだと思います。仕事をせずに当面は生活できる貯蓄があり、独身であるため、個人的な時間を全て勉強のために使える条件が揃っていました。とはいえ、この環境を考慮すれば、現在の売り上げを1.5倍上げた状態で講座を卒業する方が望ましい結果であったと言えるかもしれません。

しかしながら、この2年間において相応の体力的負荷及び精神的負荷がかかったことは確かであり、さらに追い込んでいたとしたらバーンアウトの可能性も考えられるので、総合的に見て現在の状態に納得しています。

5. 卒業後の目標

2年間の講座受講期間においては、基礎固めを第一の優先事項とし、その結果、「駆け出しの翻訳者」としてデビューすることができました。次の1年間では、「優秀な翻訳者」に進化することを最優先事項にします。

私が想定する「優秀な翻訳者」とは、年収5,760,000円を無理なく稼ぐ翻訳者であると定義します。すなわち、平均月収480,000円を稼ぎ、月間稼働日数を20日に抑えられる能力を有する翻訳者です。何故この数字かというと、日給換算では24,000円であって、1日8時間作業をすると時給換算で3,000円になるからです。

1ヶ月で20,000ワードの和訳案件を2セット受注した場合、1セットを10日間で処理するには、1日あたり2,500ワードを翻訳する必要があります。1日8時間の稼働で1時間あたり312.5ワードの処理速度です。その結果、翻訳作業を8日で終わらせ、残りの2日をチェック作業に充てることができます。すなわち、1日あたり10,000ワードをチェックする計算になります。

以上の条件においてレートが12円であれば、1ヶ月で40,000ワードを処理して月収が480,000円になります。この稼働率と収入であれば、フリーランスであってもホワイト企業並みの働き方になると考えます。月間稼働日数が20日であれば、年間120日の休日が得られ、1日8時間の作業であれば、法定労働時間内です。

上記の数字は、様々な観点から理に適っていると言えそうです。1日に8時間を超えて翻訳作業をすれば訳文の質が落ちる可能性が増えますし、翻訳業を持続可能にするためには、月に5日間はプライベートを充実させて気分転換し、残りの5日間は全ての時間を学習時間に充てたいものです。また、1日あたりの翻訳速度2,500ワードや1日あたりのチェック速度10,000ワードは、クライアントが望ましいと考える数字です。和訳レート12円という数字は、クライアントが許容できる範囲内のレートだと思われます。月収が480,000円であれば、生活費以外の貯蓄や投資に回せる金額に余裕ができ、翻訳業以外の活動に向けた準備ができます。

現実的にはディスカウントなどのイレギュラーがあり、上記の内容は理想的なモデルと言えますが、わかりやすい指標なので、これを目掛けて進みたいと思います。

目標年収と稼働率を達成するための手段としては、現在の取引先との関係を見直して新規開拓をすることが挙げられます。二つのアプローチを考えていて、一つ目は和訳の類似案件を大量に抱えている取引先を開拓することです。処理速度を上げるためには、受注案件の専門領域を絞ってメモリや用語集のマッチ率を高め、既得の背景知識を活かして調査すべき領域を小さくする必要があります。

現状は医薬と医療機器だけでなく、通信や電機などのバイオ・メディカル以外の分野の案件も受けており、手広くなり過ぎてしまっているので、受注案件を医薬分野に収斂させていくことが肝要だと考えています。医療機器も診断装置から手術用器具までと対象範囲が広い印象なので、なるべく手をつけないようにします。

二つ目のアプローチとは、医薬翻訳の英訳案件を受注できる取引先を開拓することです。昨今は和訳のレートが上がりにくい状況が見受けられ、効率よく稼ぐには処理速度を上げるしかありません。これは上記の解決策で対応できるので、別の角度からのアプローチとして英訳で稼ぐ方法を考えています。

ベテラン翻訳者の方によれば、英訳は和訳と比較して労力の割に稼ぎやすいとのことなので、実際に英訳案件を継続して受注し、実態を把握するようにします。ネイティブチェックの必要性がレートにどれくらい影響するのかも確認したいところです。加えて、英訳作業の効率性は原文の質に大きく依存すると思われますが、医薬関連の原文の内容理解については経験が蓄積されてきており、リライトの練習とAIの出力研究も進めているので、負荷をどれくらい低減して稼げるかを試してみたいと考えています。また、長期的なレートアップの施策として、なるべく市場価値の高い仕事を提供できるようにするために、医薬翻訳の中でも対応できる翻訳者が少ない分野の英訳勉強を始めました。

以上の手段を徹底的に突き詰めて、1年後には必ず年収5,760,000円を無理なく稼ぐ翻訳者になります。

6. 『レバレッジ特許翻訳講座』受講の勧め(受講を検討されている方へ)

講座受講生は、大きく分けて動画講義とコンサルティングの2つのサービスを受けることができます。動画コンテンツは現時点で4,000本以上ダウンロードできますが、それら全てを視聴することが目的ではなく、必要に応じて能動的に取捨選択することが重要です。翻訳にまつわる講義は、主に翻訳業について解説するものと翻訳スキルの伝授に関するものに分けられます。

【6.1. 翻訳業についての解説動画】

■翻訳業界を渡り歩く方法
翻訳者としてのキャリアがない方の場合、翻訳業界の構造や変遷を理解しないで参入を試みるのは非常に危険だと思われます。業界にはどういったプレイヤーがいるのか、お金はどこからどこへ流れるのか、10年前と現在では何が違うのか、などといった事情を知らないと、翻訳業を成り立たせることはできません。

それらの情報は、翻訳業専門誌やWEBサイトからも得ることはできますが、それらは表面的なものであり、さらに深く洞察する必要があると思います。本講座の講師は、長年の翻訳経験と幅広いネットワークを持っている方なので、私は、講義を通じて通常では手に入れることのできない情報を得ることができました。詳しくは書きませんが、お金を払わないと得られない情報というものがあります。

■翻訳業で稼ぐ方法
翻訳者として安定的に稼ぎ続けるためには、いくつものステップを踏まなければなりません。換言すれば、いくつかのステップを踏めばキャリアを構築できるようになるということです。しかし、そのステップを踏み進めた人から教わらない限り、無駄な遠回りをすることになり、時間を浪費することになります。

講師からは、トライアルの応募戦略や課題突破方法、仕事の獲得方法、クライアントとの付き合い方、収入の上げ方、キャリア開発方法など、翻訳者として稼ぎ続けるための体系的なメソッドを教わることができます。目標への各ステップではどれくらいのエネルギーと時間が必要かを見積もることもできるようになるので、精神的に余裕が生まれます。

【6.2. 翻訳スキルを動画で伝授】

■専門知識を身につける方法
特許翻訳や産業翻訳を手掛ける場合、理系科目の知識を駆使して原文を読解する必要があります。一つ一つの単語の意味がわからなければ、文脈を理解することはできず、翻訳はできません。本講座では、高校から大学教養課程レベルまでの理系科目の知識を習得できるプログラムが用意されています。高校時代に理系科目が苦手だった方は、おそらくこれらの講義を受けて驚くことになると思います。適切な人から適切な内容で教わることができれば、理系科目に対するコンプレックスは消滅します。

実務レベルでの専門知識については、分野が多岐にわたるので各個人が自ら獲得する必要がありますが、講師からはその手段についてアドバイスをもらえます。基礎レベルから実務レベルへの接続方法がわかれば自走できるようになります。レベルを上げる過程での一番の障害は、自分にはできるわけがないと考えるマインドブロックだと思われますが、講座受講環境に身を置いていれば、その壁は自然に崩れていくでしょう。

■特許明細書の読解法
特許明細書の文章は難解です。権利書という側面もあって、初めて読む人にとってはハードルが高く、特別な理由がない限り読みたいと思うような文章ではありません。私もそうでした。動画講義では、講師が実際に特許明細書を翻訳する様子を見ることができます。その際には、難解な文章の内容を噛み砕いて説明してもらえるので、特許文章の内容が実は素朴なものであって、特殊な外観をまとっているものに過ぎないことがわかってきます。

特許明細書に対するイメージが変われば、ストーリー性のある文章を楽しんで読むことができるようになります。講師はこの面白さを受講生に認知させるプロです。

■翻訳に必要な思考法
訳語を確定する際、原語とターゲット語は1対1で対応していないので、原語が意味する概念を抽象化、具体化、又は類推解釈してからターゲット語特有の表現に変換する操作が必要になります。この操作は、一定の思考パターンに基づいて行うことができますが、簡単に身につくものではありません。

また、似てはいるが同じではない2つ以上の概念があって、正しいものを一つ選択しなければいけない局面では、それらの概念の射程範囲をそれぞれ正確に把握して切り分ける必要があります。そのためには概念を分解して構造化することや、グルーピングをして客観視することが有用です。

動画で講義を視聴することで、講師の思考過程を追従することができ、上記のような操作が行えるようになります。

■調査法
翻訳作業には調査がつきものです。原文が意図している内容を確認するために、又は訳文の表現が適切であるかどうかを裏付けるために都度調査をします。しかしながら、実際の翻訳案件には納期があり、大抵タイトに設定されています。限られた期間内で一定のクオリティが担保された成果物を納品するには、調査力を上げる必要があります。

講師からは、インターネット上で一次情報を得る場合の注意点や、大量の情報の中から必要な情報を瞬時に導き出す検索ストラテジーを学ぶことができます。

■翻訳関連ツール活用法
翻訳作業は頭脳に負荷がかかる知的労働であって決して楽なものではありません。訳文の品質管理には相当なエネルギーを使います。そのため、CATツールや校正支援ツールなどは翻訳者の味方になります。様々なツールの活用法を独自に編み出していくことで、他者との差別化がなされますが、そのヒントを講義から得ることができます。

講義では、定番ツールから最新AIツールまで多種多様なツールが紹介されています。大事なことは、どのような目的のためにそのツールを使うかということであり、講師の視点による解説から様々なアイディアを着想することができます。

【6.3. コンサルティング】

講座受講生は、動画講義以外のサービスとして、講師からの直接的なアドバイスを必要に応じて得ることができます。

■無制限Q&A
講座受講生専用の個別オンラインページを介して、講師に質問することができます。回数に制限はありません。ただし、質問する際には、内容を整理して自分なりに考えの道筋をつけてから講師に連絡することをお勧めします。この作業をすることで、相手の時間をやみくもに奪わないようにする意識が醸成されますし、大抵の質問はこの段階で自ずと解決されていきます。クライアントとやり取りをする際にも、相手を思いやる姿勢によって信頼関係を築いていくことができるので、普段から癖づけていくことが大切だと思われます。

過度に期待してはいけないと思いますが、講師からの回答は迅速です。クライアントとの取引においては、意思決定をすぐにしなければならない局面があります。私はそのような場合、自分の判断が正しいかどうかを講師に質問することが何度かありました。豊富な経験を有する講師からのアドバイスにより、誤った判断に基づく機会損失を回避できました。質問をすることは講座受講生に与えられた権利であるので、有効に利用しない手はありません。

■Skype相談
講師とアポイントメントを取ってSkype経由で相談することができます。顔を向け合うことがない個人面談のような形式であり、効率よくアドバイスをもらうことができます。動画講義の内容は受講生全員に向けられた一般的なものであるので、各個人の状況を考慮したテーラーメイドな意見を聞きたい場合にうってつけです。

私は、学習を中心にして行動していた受講1年目の時期に、2〜3ヶ月に一度Skype相談をしていました。これにより、学習内容や方向性にずれがないかを確認でき、それによって時間的ロスを避けることができました。また、CVの添削やトライアル応募戦略についての客観的意見を聞くこともできるので、重要な意思決定について一人で思い悩む必要がありませんでした。

■ブログ経由コンサルティング
独自ブログを開設して、講師が運営するブログと相互リンクすることにより、公開した記事の内容に関する講師からのアドバイスを、動画講義の形式で得ることができます。独自ブログで学習の進捗状況や計画、普段考えていることなどを任意のタイミングで記事化しておくことで、翻訳者としてのブランディングを図ることができる上、講師からの意見を聞くこともでき、成長が加速します。書いた文章には考えていることが表れるので、自己開示をするのに躊躇することもありますが、盲点を講師から指摘してもらうことにより、迅速に修正を利かせて目標に近づくことができます。

個人的には、ブログ記事を書くことは翻訳スキルを高めることに直結していると考えています。和訳作業では、意外に日本語の文章表現で苦戦します。したがって、普段から日本語で文章を書く練習をするに越したことはありません。また、ブログ記事を公開する際には、逆ブランディングにならないように誤字脱字チェックが必要です。記事を数多く書くことで、チェック力も磨かれていきます。

【6.4. まとめ】

本講座を紹介する上で何らかの否定的事項もお伝えした方が信憑性は高まると思うのですが、正直なところ、これといった事項が思いつきません。不足点があるならば、講師に直接リクエストすればよいですし、実際にリクエストには応えていただけます。また、講座受講料が高いという意見については、私も受講前には大きな決断が必要でしたが、今となっては、本講座が非常にお買い得なサービスであることを断言できます。レバレッジ特許翻訳講座は、翻訳業だけでなく全てのビジネスに通じるソリューションの提供、人生設計コンサルティング、及び自己変革を促すコーチング等を含めたオールインワンパッケージです。講座を通じて能動的に行動し成長すれば、講座受講のために支払った金額は必ず回収することができます。

受講期間中にすべきことは、講師のセンスを可能な限り観察して真似て盗むことだと思います。自分をバージョンアップするために講座を受講したわけですから、それまでに持っていなかった発想法や思考法、スタンスを貪欲に取り入れて成長するしかありません。自分にないセンスを身につけるには、講座との接触面積を可能な限り増やすことが有効です。2年間は講座を生活の中心に位置付けて、講師の考え方を徹底的に自分にインストールする。それがこれからの時代を生き抜いていくための大きなアドバンテージになると思います。

7. 御礼

管理人様、2年間大変お世話になりました。おかげさまで、0の状態から無事稼ぎ始めることができるまでになりました。30歳を過ぎて人生の第2章が始まろうとしていたタイミングでレバレッジ特許翻訳講座に出会えたことに感謝しております。ご指導いただけたことにより、自分を大幅にアップデートすることができ、理想の働き方を実現しつつ、時代の変化を恐れずに前に付き進んでいく能力を養うことができました。10年後20年後に自身の人生を振り返った際には、講座受講が分岐点となって人生の軌道が上向きに修正されたことを実感するはずです。卒業後、さらに稼いで結果を出すことが管理人様への一番の御礼になると考えております。最良の結果を報告できるよう引き続き努力いたしますので、今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。

最後に、同時期に講座を受講していた受講生の皆様並びに卒業生の皆様に感謝を伝えたく存じます。それぞれご事情がある中で懸命に努力されている姿を、ブログ等を通じて拝見しておりました。たくさんの刺激をいただけた環境があってこそ、切磋琢磨して成長することができたと振り返っております。今後とも交流し合う関係を築いていけたら嬉しいです。誠にありがとうございました。



904_0