会員118(20代、独身、トライアル挑戦予定、1.5年コース)


28歳男、独身

1.5年コース受講 期間:2019年9月〜2021年2月

受講開始してから仕事は退職しましたが、金銭面に余裕がなくなり現在は派遣社員として働きつつ学習しています。


※生活のための仕事であれば、勉強に悪影響が出ないように考える必要があります。翻訳学習に役立つスキルが身につくなら残業含めて積極的に取り組んで、副業としての翻訳を考える余地もあるかと。少なくともストレスや睡眠不足で健康を害さないように気を付けてください。



●自分のこと

英語が得意だったわけでもなく、理系背景もほとんど無く、文章を読むことも苦手でしたが、今は特許翻訳者を目指しています。受講を検討している方で私と似た境遇をお持ちの方は参考にしていただければ幸いです。


・勉強とは無縁の学生生活


私は、昔からとにかく勉強が苦手でした。勉強に関しては両親も放任主義であり、叱られたことは覚えている限りでも数回程度です。中学、高校は部活動のために学校に通っていたようなものでした。暗記することが勉強の全てであると思っていたので、テストはひたすら暗記で乗り切りました。


※翻訳業は自分が知っている内容だけを依頼されるわけではないので、新しいことを調べて内容を理解し翻訳する必要があります。新しいことを学んで血肉にするためには、暗記至上主義では続かなくなります。技術に興味を持っていろんな情報を取り込むといいと思います。


高校卒業後の進路は、就職に有利になるという理由のみで理系大学に入学することを決め、この時も勉強を避けるために指定校推薦制度を利用しました。暗記学習は大学でも続き、必修科目は再履修をしながらなんとか乗り切りそのまま卒業を迎え、地元企業へ就職しました。



・理系へのコンプレックス

大学卒業後は技術職に就きました。理系大学出身という肩書きのおかげで就職しましたが、その肩書きに今度は苦しめられることになりました。勉強をしてこなかったため当たり前ですが、理系出身者なら普通に知っているであろう知識もなく、仕事中にはよく自己嫌悪に陥っていました。もとより興味があって理系大学に進んだわけではないので、大学の講義を受ける中で理系が出来ないというコンプレックスが増大していったのだと思います。


・日本語の長文が読めなかった

本を読む習慣がなく、その当時まで読んできた本も数冊程度でした。講座受講当初は長文を読んでも全く頭に入らず、途中で何を読んでいるか分からなくなることがよくありました。家電などを使用する際は、付属される取り扱い説明書などは一切読むことなく使用するような人間でした。文系、理系というワードが講座ビデオでよく出てきますが、私はどちらにも該当しないため「どちらか一方にでも該当していれば、、、」と勉強しなかったことをその度後悔しています。


・英語学習は25歳で開始

私は、まさか自分が英語を使う仕事をすると考えたことがなかったため、25歳まで英語を本気で勉強することはありませんでした。学生時代に学んだ英語はほとんど忘れていたため、まず英語の基礎勉強から始める必要がありました。中学基本単語を覚えることから始め、基本5文型の学習などをしました。YouTubeの解説も参考にしながら徐々に教科書のレベルを上げていき、合計で1年半掛けて指標としていたTOEIC850点を取得しました。

※ここまでくると今度はさらに上のスコアが欲しくなるかも知れませんが、ここから先は英語以外の部分を強化しましょう。まずはTOEICを950点にしてからとか考えると、全体のスケジュールが長期化して金銭的に苦労することになります。詳細については、「講座のコンセプト」(パワポ及び動画)で確認してください。ある程度の英語力(語学力)は必要ですが、「ある程度以上」のスコアを追及することで遠回りになる可能性があります。


●受講した理由


昔から夢であった海外移住をするため、選んだ仕事が特許翻訳でした。

大学卒業後に技術職に3年間就いていましたが、毎日がルーティン化しておりなんとなく過ごす日々に嫌気がさしていました。そんな時に講座卒業生のブログを発見し、そのブログに記される海外生活が大きな刺激となりました。ブログには特許翻訳のことも記事になっていましたが、当時は少し興味を持った程度でした。海外移住に本格的に動き出すために退職を決め、まずは短期留学で生活体験をしながら語学学校で英語の勉強をしました。英語を覚える度にコミュニケーションが取れるようになり、そこから英語学習の楽しさに気づき英語がただの手段ではなくなりました。英語学習をずっと継続したいという気持ちから、折角なら英語に関する仕事をしたいと思うようになり、以前のブログで気になっていた特許翻訳を目指し始めました。

※海外で生活する上で一番のネックは「仕事」です。海外で日本人が日本国内と同じようなポジションと報酬を得て働き続けることは容易ではありません。その点「翻訳」であれば、完全に在宅ですから、インターネット環境さえあれば生活が成り立つことになります。当初の「夢」を実現させるべく、最後まで頑張ってください。


特許翻訳に関しては何も知らなかったため講座を探し始めましたが、多くの講座で対象レベルTOEIC○○点以上と記載されており、私のレベルでは到底足りていなかったためTOEICで高い点数を取るために英語基礎学習に専念する必要がありました。

「英語学習は25歳で開始」にて前述したとおり中学の基礎からやり直す必要があったため時間を要しました。英語が一定レベルに達したところで、受講する翻訳講座を再び探しました。

レバレッジ特許翻訳講座のことは卒業生ブログ内記事で知っていたのですが、金額面でハードルが高くその時は受講に至りませんでした。その代わりに、より安い値段の某翻訳会社の受講を検討しました。

受講検討者用DVDを配布していただいたため視聴したところ、その内容は、500文字程度の化学実験に関する英文を受講生が和訳しその答え合わせを講師と行うというものでした。
翻訳のことは右も左も分からなかったのでこの講座内容からは善し悪しはつきませんでしたが、質疑応答の時間で、「○○(講師名)さんはどのようにわからない用語を対処していますか」という受講生の質問に対し、「ネットで調べてその他のわからないところは研究者であるパートナーに協力してもらっています」と講師の方が回答されており、「学習者に対してその回答は…」とツッコミつつこの講座を受講することはありませんでした。

その後、レバレッジ特許翻訳講座の受講についてもう一度真剣に考え、ビデオ300本プレゼントに応募しました。300本のどのビデオからも学ぶべきことがありその濃度の濃さに驚き、またプロによる操作を見ながら実践的に学習できることに魅力を感じ受講を決めました。
値段による躊躇は、この300本ビデオ視聴で一気に無くなりました。


●やってきたこと(周辺環境)

・交友関係を絶つ

前職では同期が多く、また部署内でも近い年代の人が多かったために飲み会が頻繁に開催されました(2週間に1回は必ずあるような状況でした)。退職後も誘っていただくことはありましたが、全て断るようにしました。そのおかげ?で誘いは無くなりましたが、無駄使いがなくなり、こういう状況になったからこそ自分を理解してくれる友人と出会えたので良かったです。
※会社員は勉強時間の捻出がカギとなります。会社からの給与で生活が維持できても、勉強時間が十分に確保できなけばどうにもなりません。まずは生活サイクルを見直し、夜は早めに就寝して早朝勉強するようにする、通勤時間で勉強する、昼休みは弁当にして自席で勉強する、できる限り有給を消化する、会社の近くに住んで通勤時間を節約するなどの工夫が必要です。付き合い残業・サービス残業・土日の付き合いなども極力避けるべきでしょう。


・ハードとソフトの購入

1年半で約90万円使いました。
ノートPC(海外移住のため)、27型のデスクトップ、レーザープリンターなどを購入しました。イスとローラーバーマウスは未だ購入出来ていません。その他、辞書やTrados2019の購入、インターネットセキュリティ(ESET)、知子の情報、Xmindなども購入しました。

購入すべきものは講座ビデオで全て紹介されているので割愛しますが、知子の情報とXmindは講座受講初期に購入しておいて良かったと思います。化学や物理の勉強中に学んだ用語はとにかく知子の情報に登録していました。

明細書を読んでわからない用語を知子の情報で検索すると勉強中に学んだカードがヒットすることがあり、管理人さんがビデオ内でおっしゃる「点と点が繋がる」ことが体感できます。
Xmindでは、用語をマッピングしながらまとめていくことで、ある分野におけるその用語の位置関係がわかるようになりました。翻訳の調査時にもマインドマップは欠かせません。マインドマップの関連ビデオは、早い段階で視聴し実践しておいてよかったです。


・学習計画作成


私はネットでエクセル形式の月間カレンダーを入手し、各月ごとA4サイズで印刷し計画を書き込んでいました。「月 スケジュール エクセル テンプレート」と検索すれば無料で手に入ります。部屋の壁には、ネットで入手した月間カレンダーと近所の雑貨屋で購入した大きな年間カレンダーを貼っています。年間カレンダーは、横列が月で縦列が日になっているものを使用しており、ピンクの蛍光ペンで経過日をチェックしています。1年間はとても短く、恐ろしいスピードで過ぎていくことが一目で分かります。


●やってきたこと(講座受講)


・化学、物理、その他の学習  期間:0カ月〜11カ月

派遣社員として働きながら平均して平日は3時間、休日は8時間勉強しました。化学や物理の学習は、集中して一気に進めようと考えたため使える時間はほとんど化学、物理シリーズに費やしました。
この期間でCV作成も行いました。関連ビデオを視聴して作成しましたが、最初はブランクばかりでした。勉強中に気づいた追加項目は、忘れないようにその都度入力していきました。

※理解できたことよりも、分からないことを知子に入れておいてあとでまとめて調べてカードを完成させるやり方もあります。とにかく一度は時間をかけて勉強した気づきを残しておかないと、そのうちまあいいやで忘れてしまい、また同じことを最初からやることになって時期間のロスになります。限られた時間を有効活用することを忘れないことです。


物理の学習を終えた後は、専門分野の学習を開始しました。後述の「プロになれなかった理由」で記載しますが、物理を終えたらすぐに対訳シリーズに移るべきでした。


※講座ビデオでも言っていると思いますが、翻訳する上で必要な「知識の量」と「知識の深さ」を見切ることが重要です。知識はいくらでも深く追究することができるので、完全主義・潔癖症で勉強し始めたらそれだけで受講期間が終わってしまいます。プロになるための「量」と「質」を何時も意識しながら、「逆算」して行動することが大切です。時間は有限です。


・対訳シリーズ(1シリーズ)と対訳収集(20件)  期間:12カ月〜14カ月

ここではTradosの操作方法も同時に学習しました。操作に関しては講座卒業生の藪内さんの本を活用させていただきました。対訳収集は中身を理解しながら、収集することを意識しました。

・トライアル  期間:14カ月〜15カ月

2件(特許翻訳1件、チェッカー1件)受けました。
両トライアルとも突破することは出来ませんでしたが、今思えば偶然でもこの時に受からなくてよかったと思います。調査方法が甘かったこと、圧倒的にメモリが不足していたこと、自力翻訳の経験が少なすぎたことから提出時間に追われ、翻訳作業中にほぼ思考停止していたためです。


※プロの世界は、「速度X精度X量」がモノをいいます。そのためには普段から時間を決めて、早く正確に調べて訳文を生成する。それを大量にやることです。「演習量」がものを言います。


・対訳収集と自力翻訳  期間:16カ月〜18カ月

明細書との向き合い方を見直すため、まずは対訳シリーズを1シリーズ視聴し調査と理解の深さを確認しました。次に、別の対訳シリーズの明細書を自力翻訳した後にビデオを視聴し、自分とプロとの差を確認しました。
私は、この時に翻訳したVarianの明細書で、「調査はこの深さでいいんだな」「ここは必要以上に調査し過ぎたな」という感覚をつかむことができました。更に、対訳中にずっと疑問に思っていた「意訳の程度」も感覚的にわかるようになりました。

この時、自分が訳したトライアル文を見直しましたがミラートランスレーションを意識しすぎたせいで堅苦しく不自然な文章になっていました。対訳シリーズによる学習で明細書へのアプローチ法がわかった後は、専門分野の明細書を実ジョブと仮定して翻訳しています。


※普段の練習を「本番」だと思ってやりきることはとても重要です。この点の気づきができたことは良かったと思います。



●1年半でプロになれなかった理由


一番の敗因は「出口戦略の甘さ」にあったと思います。私は人と自分を比べ自己嫌悪に陥りやすいので、他の受講生のブログはあまり気にしないようにしていました。そのせいで、自分のような背景を持つ人はどのように進めるべきか明確に見えておらず受講開始時に作成した計画を何度も修正することがありました。


※他人と無意味な比較をしないこと、比較して焦ったりコンプレックスを感じたりする必要はありません。しかし、「参考にできるものは参考にする」というのは大切です。


勉強する中で「あれもこれも」とやるべきことが見えてくるため多少の計画修正は仕方ないと思いますが、プロへの道筋として必ずやらないといけない項目が受講中に大きくブレたり前後しないように、自分に似た背景の人を参考にして勉強計画は立てるべきでした。

また、この時自分で考えず管理人さんに相談しておくべきでした。

私の場合は、化学と物理の学習後に専門分野の勉強を始めてしまいました。この専門分野の学習は、明細書を読むわけではなくネットや専門書のみで学習していたため、勉強のための勉強になっていたと思います。更に、専門分野を決める際にも時間を浪費しました。最初に決めた専門分野は、外国からの出願が少なく実ジョブ(英日翻訳)を考えた時に効率的ではないと勝手に判断し専門分野を新たに選び直すこともありました。


※トライアル挑戦時にマーケットを調査し、仕事が沢山あるものの中から自分の専門や得意分野を選択すべきです。すでに自分が何かの専門を持っているのであれば、そこから入って別の専門領域へシフトするやり方が考えられますが、そうでなければゼロから考えても結論は出せないと思います。


今思えば、化学と物理の学習を終えたらすぐに対訳シリーズを集中的に消化し、翻訳の思考プロセスと調査方法を感覚的につかんでおくべきだったと思います。それらのアプローチ法こそが重要であり、専門分野はただの入り口にすぎないということを早く理解しておくべきでした。


●受講を検討中の方へ


私は、現在でも未だ翻訳者として稼ぐことができていません。

1年半かけて、翻訳プロセスを確立しトライアルを集中的に受けることができる段階まできました。

卒業生には私と似た境遇の方でも短期でプロになっている人がいるかもしれませんが、それでも理系と文系の背景がほぼ無い場合は本当に苦労すると思います。

更に、プロを目指す理由が環境に追い詰められた(病気やリストラなど)わけでない場合、何度も挫折しそうになります。「1年半もあれば・・・」と受講当初は考えていましたが、本当に甘かったなと思います。

一時的な勢いや中途半端な気持ちで受講することがないように、投入できる時間といつまでにどうなるというビジョンを持った上で受講されるのが良いと思います。

そして、似た境遇の人がいないかと受講感想やブログを確認しその方が通った道筋を参考にしながら計画を立てることをお勧めします。

講座は質問制限がないので、たくさん質問した方が良いと思います。

しかし、種々のビデオ内で説明があるように「自分はなぜそう思い、どこまで調べて、何がわからないか」を明確にして質問をしなければなりません。受講開始時は、「質問するにも気軽にはできないな」と考えていましたが、思考プロセスと調査内容をまとめながらWordに記載していると「あ、結局そういうことか」と答えにたどり着くことが何度もありました。またそのようにして質問した内容をビデオで解説していただいたこともあり、質問内容とは別の部分で間違った解釈をしていたことに気づくこともありました。

質問するためにやっていた思考プロセスの文章化は、明細書の翻訳時にも有用であり、例えば、見直しの際に、間違った箇所だけではなくなぜ間違ったのかがわかるので思考のズレを確認するためには必要不可欠です。


※受け身な姿勢のまま講師が話す内容をメモするだけのやり方では、プロの壁を突破することはほぼ不可能です。自分でなんとかするのがフリーランスですから、学習段階からそういう「クセ付け」をしておくことは大切です。


●管理人さんへ

講座ビデオ内で「勘違いした人が受講しないようにブログ等で敷居を上げている」と管理人さんはおっしゃいます。実際に私のような、何の背景も無く日本語の長文すらまともに読めない人間がこの講座に紛れ込むのは多くないのかもしれません。しかし、本当にこの講座を始めてよかったと思います。

「自分には何もできない」とただ思っていた受講前と、「やれば自分にもできる」と思える今では自信も時間の使い方も大きく異なります。

可能であれば、高校生の頃にこの講座に出会って思考や勉強の仕方を学びたかった。。。と切に思います。まだプロとして活動出来ていませんが、あとは時間をかけて自力翻訳の数をこなすのみだと思います。来月にはトライアルを集中的に受講して、隙間時間に学習していきます。

1年半、本当にありがとうございました。



※自力翻訳する際には、公開訳をライバルだと思ってがんばってください。お疲れ様でした。ここまでは基礎工事です。ここからが建築工事ですから、「本番」です。かならず海外移住の夢を実現してください。自分で自分に見切りを付けて諦めてしまったらその時点でゲームオーバーですから。まだ20代で独身という点は強力な武器です。ここで結果を出せれば時間にレバレッジをかけて大きく飛躍できます。そのためには絶対に諦めないことです。



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