【受講感想】（男性、元会社員、特許翻訳者として稼働中） : レバレッジ特許翻訳講座《第16期》

ある意味で理想的な講座の活用方法が提示されているので、

「講座利用ガイド」として受講生向けビデオ・メルマガ配信用ビデオ

にさせていただきました。

「受講感想」

受講後、あと１か月で2年となります。

2年コースで始めた講座ですが、現在、機械・電気系の和英翻訳者として活動しています。
仕事の受注開始は受講開始後1年半後ですが、それ以降途切れることなく継続しています。

これまでのご指導に感謝いたします。

以下の目次に従い、経緯と感想をご報告します。

　１．講座受講してちゃんと成果が出たか
　２．なぜ特許翻訳者になろうとしたか
　３．なぜこの講座を受講しようと思ったのか
　４．講座受講中にやったこと
　５．講座受講中にやらなかったこと、やれなかったこと

１．講座受講してちゃんと成果が出たか

　成果は出ました。概要は以下の通りです。

　　・受講後、1年と少しが経過した時点以降、英和と和英のトライアルを受け2社（英和1社、和英1社）に合格しました。
　　・和英の方はトライアル合格直後から現在まで仕事が途切れることなく、月に40,000ワード程度の仕事量をこなしています。
　　・英和の方は、オファーが時々あるもののタイミングが合わず、受注実績はありません。

【感想】

　和英のトライアルは提出後３日で合格通知が届きました。それ以前のものは提出後数週間待たされましたので、異常な早さでした。その後すぐに仕事が始まり、喜ばしく思う反面、急激な事態の変化に戸惑いも感じました。

　後述の３項冒頭で述べていることと重複しますが、この講座は特許翻訳を職業として成り立たせるための情報を網羅しておりました。ただし、講座はあくまで水先案内人であって、実際に手を動かして得られる各種の経験を通じて初めて成果が得られます。ビデオはあくまで行動のきっかけです。

　この先の段階についても、必要な情報がこの講座の中に存在するものと思われます。今後、チェック速度の向上、その先にある複数社との取引、レートの改善などに向けて参考にさせていただく予定です。

２．なぜ特許翻訳者になろうとしたか

　５０歳を越えたあたりからサラリーマンを卒業する方向を模索していました。サラリーマン生活は表面的には充実していました。重要な仕事を任され、海外赴任をし、この流れで外資に再就職し、収入、得られる経験ともに申し分ありませんでした。

一方で、①長時間労働と頻繁な出張とによるストレス、②職位が上がるに従い物作りの現場から離れていく不満なども募っていました。

これを解決するため各種の検討をした結果、町工場の経営者とフリーランスの翻訳者は自分の手の届く範囲にあるとみました。しかし、町工場の経営者では、②を解決するために有効と思われますが、①が解決できません。

フリーランスの翻訳者は、①を解決するには有効ですが、②が解決できません。しかし、試しにやってみると、翻訳文を作ることもかなり物作りに近いと気づきました。

　そういう目で周囲を観察したり、情報収集をしたりしましたが、結果は次の通りでした。

　　・海外赴任中に何人もの通訳、翻訳者と付き合いましたが、うまいと思える人にはほとんど出会いませんでした。これが翻訳や通訳のプロのレベルなら、自分でも少し訓練すればできるようになるだろうと思えました。

　　・情報収集する中で特許翻訳は自分にとっては参入障壁が低そうであるが、一般的には高そうであると感じました。こう感じた理由は、自分が技術者であり、英語力もそこそこあるためです。さらに公開されている明細書の訳をみて自分の方がうまくできるようになるとも思いました。ただしその時点での実力ではなく、何らかの訓練を経る必要があることは確かでした。

　以上のような経緯で特許翻訳者になろうと考えました。

３．なぜこの講座を受講しようと思ったのか

　上記のように特許翻訳に照準を合わせたものの、業界の常識的な知識がなく、仕事として成り立たせていくまでの過程がわかりませんでした。本を読んだりネットで調べたりしても、書いてあることはわかるが、必要なものを網羅しているのかが不明でした。

　このような中、レバレッジ翻訳講座を見つけました。これが求める情報へ最も速くアクセスできる方法であろうと思いました。そう思った理由は次の通りです。

　　①１０００～２０００時間の勉強が必要と言っている。この言葉に正直さを感じた。
　　②ビデオ３００本プレゼントの翻訳支援ツールについての解説が必要な内容を網羅していると思いました。
　　③同じくビデオ３００本プレゼントのビデオ中で翻訳を実演しているのをみて、業界での常識的な訳し方も習得できそうであるとも感じました。
　　④過去に多数のプロを輩出していることが受講生の受講感想からわかりました。
　　⑤１００万円近い投資をするので、詐欺の可能性をチェックしましたが、極めて低いと判断しました。理由は膨大な受講感想でした。これだけ文体の異なる、膨大な受講感想を少数の犯人のみで書ける可能性は極めて低いと判断しました。また、詐欺のプロならここまで効率の低い方法をとることはあり得ないとも判断しました。今から考えると笑い話ですが・・・。
　　⑥今後１０年この仕事がAIに置き換えられることはなさそうであるとみました。この結論は、AI側からの分析も多少しましたが、実際の特許文書をGoogle翻訳などに訳させた経験から得ました。Google翻訳も進化してかなりいい翻訳文が出せるようにはなってきてはいます。しかし、原文が単純かつ正確である場合だけです。特許文書をGoogle翻訳にかけてみるとわかりますが、次の条件を全て備えているものはほぼ正確に訳します。

　　　・主語と目的語がある。
　　　・文の長さが、日本語原文で８０文字、英語原文で４０ワード以下である。
　　　・係り受けが明確である（日本語原文の場合、被修飾語の直前に修飾語がある）。

一方、実際の特許文書をみると、上記条件を全て備えるような文はほとんどありません。特に日本語は、長文が頻繁に出てくる上に、主語・目的語の片方または両方がないものが頻繁に出てきます。また、文法間違いも散見されます。この部分はAIの進化よりも、著者の進化にかかっています。この進化は数十年(一世代)単位の時間がかかりそうです。以上のようにして上記結論に至りました。

【感想】受講前の本講座に対する予想内容は、当たっていたと考えます。

４．講座受講中にやったこと

４－１．ビデオの視聴（受講1～15ヶ月断続的に）
　自分に足りないものを中心に全体の20％程度はみました。
　視聴したものは主として、次のものです。
　　　・実際の特許文書の翻訳実演
　　　・IT機器の選定方法
　　　・各種翻訳支援ソフト（Trados、PAT Transer など）の実演
　　　・トライアルへのアクセス経路の紹介
　　　・トライアルでの注意事項

【感想】１本のビデオ全体が自分に必要な内容であるとは限りません。したがって、大部分は2倍速～4倍速で聞き、自分にとって必要なところだけ通常速度で、場合によっては繰り返し聞くという方法が有効だと思います。ビデオ全体としては、プロになるために必要な情報を網羅していると思われます。私自身は、必要な情報に最短経路でアクセスできたと考えています。

４－２．IT関連機器の購入（受講後１～３ヶ月）

　　・パソコン、大型ディスプレイ、キーボード、外付けハードディスク
　　・Trados、Pat-Transer、memoQ

　講座のビデオの情報に若干のアレンジを加えただけで選定を行い、快適な作業環境を手に入れることができました。
　スキャナとレーザプリンタは講座開始前から持っていたので、それらを使用しました。

【感想】これらの機器とソフトのおかげでその後の勉強が効率的になりました。学習初期段階で導入することをお勧めします。特に翻訳支援ソフトは実際に操作してみないと、使い方も良さもわかりません。

４－３．特許文書の翻訳（受講後1～１５ヶ月）

　特許翻訳をできるようにするには「特許翻訳をする」ことが最も近道であると考えました。この考えのもと、機械・電気系を中心に英和・和英の明細書を６０件ほど自力で訳しました。４０件までは公式の訳文のあるものを訳し、自分が疑問を感じた部分については答え合わせをしました。その後は興味の赴くまま題材を選びました。

　翻訳はほとんどTradosまたはmemoQ上で行いました。翻訳技術も重要ですが、翻訳速度と翻訳品質を向上させるためには、このような翻訳支援ソフトを駆使することは極めて有効でした。ただし、これらのソフトにはまとまったマニュアルがなく、操作を覚えるには、自分で動かしてみるしかありません。また、各種の癖もあるので、これも覚えないと速度と品質を向上させるのに役立たせることができません。とは言え、使いたい機能を整理して、その機能だけ覚えることはそれほど時間がかかるわけではありません。私の場合、翻訳メモリ、用語ベース、QA機能に習熟することに集中して、その他の機能は手を抜きました。

【感想】

　最初はうまく訳そうと思う必要はありません。むしろフォームなどどうでもいいから思い切りバットを振るイメージで取り組む方がいいです。特に初心者のうちはそれしかできないのですから。

　そのうちに問題意識がカスタマイズされてきます。各種の学習や調査はこの状態でするのが効率的です。

　公式明細書の訳文で答え合わせをしたときに、自分の訳と明細書の訳が異なることはよくあります。このときに自分の訳が正しいのか、許容範囲なのか、間違っているのかを評価することは習慣づけるべきだと思います。

評価の基準は、
　　・等価な情報を伝えているか
　　・訳語は、特許翻訳業界、当該技術の属する業界で流布しているものか
あたりだと思います。

評価が低い場合、間違った道に自分自身を導いてしまった過程をトレースして、対策を考えることもある時期からは必要です。しかし、初心者のうちは評価能力も分析能力も低いので、答えが出なくても仕方がないです。数をこなすことを優先して取り組んでいるうちに能力そのものが上がってくることに期待するくらいでちょうどよいかと考えます。

４－４．サラリーマンの卒業およびこれに伴う雑用処理（受講開始後９～１５ヶ月）

　心身ともにきつくなってきたため、また翻訳に専念したいため、サラリーマンを卒業しました。

　その後、長年の間にたまっていた雑用（２軒あった自宅の統合とこれに伴う不動産売却・生活全体のダウンサイジング・引っ越し、リフォームとこれに伴う仮住まい・引っ越し（往復）、IT環境整備、自営業（翻訳業）立上げとこれに伴う青色申告の準備・経理の勉強）を半年ほどかけてこなし、翻訳の勉強に専念できるようにしました。

　半年間の雑用期間で勉強がスローダウンしました。この期間中にトライアルを受けてもいいと思われるレベルに達しましたが、インターネット接続のよくない仮住まいにいたため、数ヶ月間延期しました。短期的にみると、この点はネガティブに作用しています。

　初年度の自営業の収入はゼロでしたが、初年度から青色申告しました。投資の分が赤字計上となり、サラリーマンの収入と部分的に相殺した結果、節税につながりました。このようにポジティブな結果も得られました。

【感想】

　フリーランスとして仕事を始めたばかりの頃は、能力をほぼ１００％仕事に投入しました。そうしなければ納期に間に合わなかったためです。このような状態では、同じように雑用をこなすのはほぼ不可能であったと思われます。また、将来的にそのような機会があるかどうかも疑問です。

学習中というのは忙しそうにみえてまだ自由度が残されています。したがって、将来の重荷になりそうなこと、納期遅延につながりそうなことは可能な限り取り除いておくことをおすすめします。

　複式簿記、またはBS/PLに関する知識がある人は、青色申告をして、節税することをおすすめします。そうでない人は勉強自体に時間がかかってしまうので、先延ばししして、翻訳自体の勉強に集中すべきだと思います。

４－５．トライアル（受講開始後１５～１９ヶ月）

　受講後１５ヶ月目に英文和訳でトライアルを受け始めました。

　最初に４社応募しましたが、受けさせてくれたのは、２社でした。他は「未経験」の履歴により足切りされたものと思われます。

　このうちの１社は合格、１社は不合格でした。不合格の訳文は後で考えると、ミスが多く、訳語選定も甘いものでした。

　このときに機械・電気系の英和翻訳にこだわっていると、機会が少ないことに気がつきました。そこで技術分野を広げるか、和英翻訳もできるようにすべきかを検討し、和英もできるようにすると決めました。練習として５件程度、和英の明細書翻訳を行いました。このときの感触は、「翻訳はできる。しかし、正しい翻訳作法がわからない」というものでした。明細書の訳し方は人によって異なり、標準的な訳し方はどのあたりにあるのかということがわかりませんでした。

これが「作法がわからない」の意味です。

そこで、知財検定１級の機械系・電気系過去問を英訳だけ３年分ほど研究して、「作法」の勉強をしました。また、「外国出願のための特許翻訳英文作成教本　中山祐木子著」という本の関連箇所を研究しました。

ここまでやってほぼ自信がついたところで、和英のトライアルに応募しました。このときは３社応募して受けさせてくれたのが１社でした。２社は履歴書に書いた「未経験」が足切り対象となったものと思われます。幸いこの１社に合格しました。

【感想】

　トライアルは、Google Patentなどにある公式の明細書の訳と同程度のレベルでは合格しないようです。あくまで感覚ですが、このような明細書の上位１／３に入るくらいの訳文を出さないと合格しないようです。つまりプロ同士で比較しても上位１／３に入らないと難しいと思われます。

　この点は学習の目標を見誤っていたのですが、英和のトライアルで不合格になった結果をみて、気がつきました。この点は管理人様も同様のことを言っておられますが、私自身の脳はスルーしていました。実際にトライアルを受ける経験を通じて修正をかけていくことが重要だと感じました。

　得意分野を広げるに当たり、私自身は和英をできるようにする方向を選びました。当然ですが、技術分野を広げる選択肢もあり得ます。どちらがいいとは一概には言えませんが、実際にやってみて、楽しい方を選択するのがいいのではないでしょうか。

　未経験の人にとってはトライアルを受けること自体が狭き門になることもあり得ます。まずはトライアルに受かり、経験を積むことを優先すべきと感じました。レートの高さには最終的にはこだわりたいですが、最優先すべきはフル稼働で年の単位での経験を積むことであると考えます。

４－６．書籍による学習（受講後全期間）

　学習期間を通じてよくアクセスした本を下記します。自分にとってアクセスが必要な本であったということです。技術と一般英語には強いが、特許翻訳の経験がない人には参考になるかもしれません。

４－６－１．翻訳関係

　　・特許技術用語集　特許技術用語委員会編
　　・技術系英文ライティング教本　中山祐木子著
　　・外国出願のための特許翻訳英文作成教本　中山祐木子著　
　　・弁理士が基礎から教える特許翻訳のテクニック　奥田百子著
　　・翻訳ツール大全集　藪内達也著
　　・特許英語翻訳ハンドブック　佐藤亜古著
　　・翻訳の布石と定石　岡田信弘著
　　・日英翻訳テクニック　ケビン・モリセイ著

４－６－２．技術関係

　人によって必要な分野が異なりますので、個々の本は記載しませんが、以下の分野のものを各分野とも複数冊読みました。

　　半導体製造、自動車、電気自動車、自動運転技術、有機化学、ロボット

【感想】

　本を読むことで得られることは、「何かがおかしい」という感覚が磨かれることです。管理人様が「違和感」として表現されている感覚だと思われます。論理的におかしいことを感じる能力もさることながら、「なんとなくおかしい」と感じる能力も含みます。むしろこちらの方が重要だと思います。

例えば、She notified the problem to me.はおかしな文です。正しくは She notified me of the problem.です。notifyの目的語は人だけであり、ことは目的語にはなれないためです。しかし、おかしいと感じなければ辞書も引きませんし、ネット検索もしません。逆におかしいと思う感覚が鍛えられていれば、記憶する必要はありません。感覚を鍛えるのに特効薬はありませんが、多くの文に触れることが最も有効であると思われます。

　技術関係の本は、全体は斜め読みして、興味のあるところだけ熟読するという方法も「あり」だと思います。どこに何かが書いてあるかを把握すれば、他のことは覚える必要はありません。ただし、辞書のように折に触れてアクセスできるのが理想で、できる限り所有するべきであると考えます。

４－６．ネットからの知識獲得

　ネットからの知識獲得は書き切れないほど膨大ですが、特許翻訳一般に関連するもので、よくアクセするものは次のものです。

　　・翻訳の泉
　　・米国特許翻訳社の知財英語情報
　　・KOD　（有料オンライン辞書（大辞典、中辞典、理化学事典、国語事典などがセットになっていて一度に引けるもの）
　　・Space ALC
　　・Google Patent
　　・LONGMAN　英英辞典
　　・Google

　技術関係のサイトは、その時点で訳しているものについて集中的にアクセスしますが、次のテーマになったら同じサイトにアクセスすることはあまりありません。

【感想】実際に役に立つのは個々のサイトではなく、検索技術です。検索技術を習得する方法は、「検索をする」経験を通じてしか得られません。経験しているうちに徐々に技術が向上していきます。これが結局早道です。

５．講座受講中にやらなかったこと、やれなかったこと

　管理人様に勧められながらやらなかったことも書きます。これは現時点の自分に不要あるいは不可能ということです。将来的には変わり得ること、本質的な意味では管理人様の見解に賛成であることは申し添えておきます。

　・８０％のビデオの視聴

　　　その時々で必要そうなものにアプローチしていた結果こうなりました。逆に２０％の情報の活用だけでプロになれたことに注目すべきです。保存しておいて、必要なものが変化したら、卒業後であっても、視聴する予定です。

　・ブログの開設

　　　同じ講座の人のブログをみても自分にとって必要な情報がほとんどないため、「逆もまた真なり」と判断しました。

　・スカイプ相談

　　　スカイプで相談する内容がたまたまなかったため。メールでは何度も相談させていただきました。

　・「知子の情報」の導入

　　　間に合いませんでした。導入を検討しています。

　・ローラーマウス

　　　導入して使ってみました。なぜか肩こりがするので通常マウスに戻しました。パームレストとしては使用中であり、ブラインドタッチでの入力ミスが激減するという思わぬ効果がありました。

　・断酒

　　　やってみましたが、無理でした。現時点では断酒を断念し、節酒しています。

　・椅子

　　　選定に時間がかかりそうで、先延ばしにしています。将来的には検討予定です。

【感想】卒業後も伸び代がありそうで、楽しみです。

※非常に効率的かつ理想的な立ち上げ方で何も付け加えることはありません。
必要なものを短時間で見つけ、本質を見抜いて効率的に前に進む。
さすが実務で鍛えられた方だと思いました。
今後、年収アップと同時にいろんな新しいことに挑戦してください。
このレベルならAIなんか敵ではありません。
本当にお疲れ様でした。

※なかなか真似はできないと思いますが、参考になる点は多いと思います。
他の受講生も学習を加速するために即実行してください。